報告をします2
自分の家に帰ってきただけなのに、緊張しています。早く家族に無事に帰ってきました。と言いたいのだけれど……
「お帰りなさいませ、お嬢様。旦那様がお待ちですよ。デュランド伯爵様もどうぞ」
執事長とメイド長に案内された場所は応接室でした。
「無事帰ってきたようだな。お疲れのところ申し訳ありません、ジェイ殿この度は世話になりました」
お父様がジェイ様に挨拶をした。
「いえ、こちらこそ私の友人が強引にルビナ嬢をお誘いしてすみませんでした」
ジェイ様もお父様に挨拶をした。
それから座るようにと言われてジェイ様はお父様の向かいに、私は……一人掛けのソファに座った。
「ほぅ。そこへ座るのか」
……何か間違えた? ジェイ様は苦笑いをしていました。
「え? お父様のお隣に座れば良かったのですか?」
普段はお母様が隣に座りますよね? 応接室という事は後でお母様もくるかもしれませんし……
「いや。安心した。ジェイ殿手紙は受け取りました。話を聞かせて貰えますか?」
「はい、手紙に書いた通りなのですが、私の口からきちんと子爵に説明をさせていただきたいと思います」
お父様は頷き話をするようにと促していた。
「結論から言いますと、ルビナ嬢とお付き合いをさせていただきたいので、お許しをいただきたく存じます。私の気持ちはルビナ嬢に伝えてありますし、彼女からも良い返事を貰いました」
きゃぁ。お父様の前で……恥ずかしい。かぁーっと顔が赤くなるのが自分でも分かる。悪いことをしているわけではないのに、後ろめたいというか……
「そうですか。わかりました。ルビナは何か言いたい事はないのかい?」
「…………ジェイ様のいう通りで間違いありません」
「脅されたとか、無理やりとかではないんだな?!」
脅されるだなんて……
「私はジェイ様をお慕いしています……」
は、恥ずかしい……それから覚えていないんですけど、ジェイ様がお父様とお話をしていた。
「ルビナ、ねぇ、ルビナったら!」
……あれ? お母様?
「お母様? いつからいました?」
「今来たの。お帰りなさい」
「ただいま帰りました」
お母様の顔を見たらホッとした。あぁ現実だわ。
「ジェイ様とお付き合いをすることになったんですって?」
「はい」
「まぁ、良かったじゃないの。やっと自分の気持ちに気が付いたのねぇ」
自分の気持ち?
「え? お母様は知っていたのですか!」
私の気持ちなのに? どうして?
「何変な顔をしているのよ。ルビナ以外みんな分かっていたわよ! 貴女デートへ行くって張り切ってお洋服を選んだり、むごっ」
「お、お母様! ジェイ様の前でなんて事を言うのですか」
お母様の口に手を当ててそれ以上は言わないようにした。ジェイ様をそぉーっと見ると、にこにことしていた。
「そうでしたか。それは嬉しいことを教えていただきましたね。私もあの時は張り切って衣装を選んでいたのですよ。同じ気持ちだったのですね」
ジェイ様が言った。それを聞いたお父様。
「付き合いは認める。将来を見据えての付き合いと言うことで間違いはないのですね?」
「はい、間違いございません」
「ルビナも良いんだな?」
「……はい」
「分かりました。ジェイ殿、ルビナの事をよろしく頼みます。決して裏切ることの無いように」
あ……ディートの事? だよね。心配かけたもの。
「お父様……あの、早すぎましたか? その、あの、モリソン令息の、」
言いにくいけれど、ちゃんと聞かなきゃ……と思っていた。
「皆まで言うな。ジェイ殿はそれも含めてルビナが良いと言ってくださったんだ、ジェイ殿が信用できないか?」
それはもちろん。頭をふるふると振る。
「いいえ」
そう言ってジェイ様を見るととても良い顔で微笑んでくれて嬉しかった。
「それならジェイ殿に任せておけば間違いはない。付き合いは認めましたが、まだ婚約者というわけではありません。侯爵家との話もあるでしょうから徐々に進めていきましょう。二人ともそれでも良いか?」
「「はい」」
ジェイ様との付き合いはあっさりと認められました。