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披露パーティー4


「へぇ」


 レオ様がニヤニヤとしていて、凄く恥ずかしくなりました。ジェイ様と繋いだ手を見て察したみたいです。


「レオナルド、感謝する」


「へぇ。素直だな。ルビナちゃん、強引に誘ってしまって悪かったね。リアーヌに怒られたんだが、ジェイのことを思うとつい」


 リアーヌ様と言うのはレオ様と本日ご結婚された方。少し気の強そうな美しくさっぱりとした素敵な方でした。元王族のレオ様に物怖じせず、ずばりと意見を言えるような方です。


「レオの用意してくれたホテルは快適だった。ルビナ嬢に謝罪の意味を込めて奮発したんだろう?」


「まぁ、それくらいはな……次来た時は一緒の部屋を用意しておくよ」


 ……! な、なんて事を……


「なんてな、冗談だよ。ルビナちゃんの家から苦情が来そうだ」


「レオ様……この度は招待いただきありがとうございました。来て良かったです」


 ぺこりと頭を下げた。


「ルビナちゃんとはもう友人だから何かあったら相談してくれ、ジェイの事なら大体分かるぞ。喧嘩をする事があっても俺はルビナちゃんの味方をするから遠慮なく言ってくれ」


 はっはっはと豪快に笑うレオ様。そして挨拶をするために会場に戻って行った。



「レオ様は楽しい方ですね」


「……あぁ、ルビナ嬢の事を気にかけてましたね。気に入らないな、レオめ」


 はぁっ。とため息を吐くジェイ様。私たちはテラスにいたからわからなかったけれど会場は盛り上がっていた。



「何をしているんですかね?」


「異常な盛り上がりですね」


 盛り上がっている場所へ行くと……


「うわっ! これは退散しましょう!」



 上半身裸になった男性達が力比べをしている……周りもやれやれ! と囃し立てる。



「お、ジェイ! お前もやれ!」


 笑いながら見ていたレオ様がジェイ様に言った。


「遠慮する!」


「なんだ? ルビナちゃんの前で負けるのが恥ずかしいんだな。腰抜けめ!」


「なんとでも言うがいい!」





 ……ただでさえ目のやり場に困るのに、ジェイ様が……となると絶対に見られない。


「学生時代の悪ノリだ、やめさせろ」


 ジェイ様が苦言を呈する。


「あいつらも変わらないよな……周りを見てみろ。喜んでいるじゃないか。これも一興だ。皆が楽しめるパーティーをしたかったんだから盛り上がって良いじゃないか。ほらリアーヌも楽しんでいる」


 あははは。と声をあげて笑っている。リアーヌ様もレオ様同様飾らない性格の様でした。


「リアーヌの家は騎士の家系だから、男の上半身なんて小さい頃から見慣れているんだ」


 ……逞しい方の様です。


 


「ジェイ! お前も来い!!」


 力比べをしている男の人からジェイ様が呼ばれました!


「遠慮しておく!」

 


「よし、ジェイ! 行け!」


 とん。とレオ様がジェイ様の背中を押す。


「はぁ? 行くわけないだろ」


「おーい! ジェイにはハンデをやってくれ。何でもアリ。どうだー?」


 レオ様が男達に言うと返事が返ってきた。



「「「「「いいぞー」」」」」


「良いってよ、行け。おいっ膝を突いたら負けだぞー」


 皆さんが返事をしてジェイ様を呼んだ。


 ジェイ様が上着に手を掛けた。え! ぬ、脱ぐの?


「はぁっ。何でもアリとは軽く見られたもんだな」


 上着を脱ぐジェイ。



「これを持っててくれますか?」


 ルビナに上着を渡し、ボタンを()()外すジェイ。


「あ、はい。お怪我なさらない様に」


 ギュッとジェイの上着を抱くルビナ。ジェイ様は脱がないみたい。ホッとした。



「力比べでは敵わないだろうから、特別ルールだ」


 レオ様がニンマリと笑いながら私に声をかけてきた。


「あんなクマさん達の様な中で戦って怪我をしないか心配です」


「ゴリラよりクマの方が凶暴だよ……ゴリラは霊長類だから例えても……って聞いてないな」

 

 はらはらしながらジェイ様を見る。筋骨隆々な男の人との対戦だ。


 クマ……じゃない、ゴリラがジェイ様に向かって、あ! ジェイさまが華麗に躱しました! そして足を引っ掛けました。 え? どすんと音を立て男の人が倒れました!


「勝者ジェイ!」


 おぉー! っと歓声が上がった。ここでは爵位があっても親しい人は名前で呼び合っていた。無礼講とレオ様が言ったけれど中々ない光景ですよね。貴族は爵位を大事にするのに。これもレオ様の人柄なんでしょうね。



「ジェイ次は俺とだ」


 ジェイ様はさっと対戦相手の後ろに回って腕を捻りあげた。


「痛ぇ、負けだ!」


 タップして負けを認めた。あっという間の出来事につい。


「……ジェイ様カッコいい」

 

「ジェイは、ああ見えて強いんだよ。これは俺からジェイにプレゼントだ」


「? ? ?」


「かっこいいところをルビナちゃんに見せて頼れる男だという事を証明出来たからな」


 レオ様はウィンクした。


「これでリアーヌに怒られないだろう!」


 うん。うん。と頷くレオ様。


友人(ジェイ)には幸せになってもらいたいからな。今度あの中の誰かが結婚する時はジェイには負けてもらおうかな。誰しも得手不得手があるからな」



 レオ様は強引な所もあるけれど優しい人だと思いました。

 

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