結婚式
結婚式は歴史ある聖堂で行われた。
結婚式には陛下も参列されていてレオ様のお母様ととても仲が良さそうでした。レオ様のお母様は嬉しそうにレオ様を見ていました。結婚式にはたくさんの貴族が参列していました。式が終わりレオ様と夫人は教会の外に出てフラワーシャワーを浴びて幸せそうだった。
外には参列者以外の人たちもたくさん集まっていて、この後のパーティーに参加する人はレオ様やジェイ様の友人の方もたくさんいるのだそう。
「パーティーまで時間がありますが一度ホテルへ帰りますか?」
「そうですね、それでは」
「ジェイ様!」
「あぁ、アンナさんか。こんにちは」
女の人に呼ばれて振り向き挨拶をするジェイ様。知り合いかな?
「昨日はありがとうございました」
「こちらこそ」
昨日って? 昨日はピクニックに行ってたのに。早くホテルに戻ってきたのは、この女の人と会っていた……?
「今からパーティーへ?」
女の人はさらに声をかける。
「いえ、少しホテルで休んでから出ようと思っていたところ」
「そうなの? パーティーまで時間があるからみんなバーで飲むらしいのだけどジェイ様は行かないの? そちらのお嬢様はジェイ様のお連れ?」
……ディートの時と同じだ。私のことなんて見えてなくて友人と出掛けるんでしょう? 私とジェイ様はなんの関係もないもの。しばらくぶりに会う友人と過ごすのでしょう。ジェイ様の口から聞きたくない。それなら私から……
「あの、ジェイ様」
「なんですか?」
「私はホテルに戻るので、どうかお友達と一緒に過ごしてください」
遠慮なく友達と過ごしてほしい。その女の人もそう願っているのでしょうから。
「ルビナ嬢を一人ホテルに返して私には友人の元へ行けと?」
「はい。せっかくお友達にお誘いいただいているのに、失礼にあたるのではないですか?」
「あぁ……それはあり得ませんよ。アンナさん教えてくれてありがとうございます。後で会場で会おうと伝えてください」
「分かりました。それでは後ほど」
「さぁ、行きましょう」
「ジェイ様、お気遣いは嬉しいのですがせっかくのお誘いを断るのはどうかと思うのですが……」
不思議そうな顔をするジェイ。
「誘われていませんよ? 友人達が飲んでいる。と聞いただけです。教会で会った奴らです。あの時に“また会場でな”と言って別れましたよね?」
確かにそういった会話はあった。それならあの女の人は? 聞きたいけれど聞けない。親しそうに思えたから。
「はい」
「行きましょうか」
なんだか悶々とする。ジェイ様はそれで良いのかな。せっかくここまで来たのに、私に気を遣ってばかりいます。
昨日会っていたアンナさんという人は……
出掛けるとは聞いてなかったから、胸がチクリと痛い。内緒とか隠し事とか、そんなつもりはないのでしょうけど、ジェイ様は大人の男性……ってダメ。変な想像をしてしまいました。
「どうかしましたか? 私は何か気に障るような事をしてしまいましたか?」
また気を遣わせてしまいました!
「あ、いいえ。少し疲れたようです。少し休めば大丈夫だと思います」
「……そうですか。それでは部屋でお休みください。時間になったら迎えにいきますね」
******
「ルビナ様元気がない様ですが、どうかしましたか?」
リリに支度を手伝って貰っていた。パーティーへ参加するための準備だった。
結婚式のドレスはシルバーにイエローを差し色に使った明るいものだった。ジェイ様もシルバーにイエローを差し色に使っていて、揃えた様な……
かっこよかったな……
この国の男の人はむきむきな人が多いけれど、そうでない人もいて、ジェイ様は程よい感じでシルエットがスリムで都会的で凄く似合っていた。
ジェイ様のいう通り周りはイエローの小物を使っている人が多くいて、おめでたいムードが満載だった。
パーティーで着るドレスはグリーンのドレスだった。これもジェイ様の紹介のデザイナーさん作。シルバーのドレスを作ってくれたと思ったらグリーンのドレスも送られてきて驚いた。
『二着もいただけません』
と言うと
『デザイナーがせっかくデザインしたのだからと言ってきました。生地も取り寄せたらしいので貰ってください。そうでないと困ります』
お母様は頂いておきなさいな。後でお礼をしておくわ。と言った。
「なんでもないのよ。少し緊張しているだけ」
「そうですか? お嬢さま! すっごく可愛くなりましたよー! 我ながら良い出来です」
胸を張るリリ。今日も元気だわね。リリは今日はお留守番だけどこうして準備を手伝ってくれる。リリにも何かお礼をしたいなぁ。こうやって旅に出るのは最後になるんだものね。




