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あっという間です


「明日から長期休暇ですね。ルビナさん楽しんできてくださいね」


 ソフィアさん達には結婚式に参列するというを旨を伝えました。


「はい。初めて国外に出るので緊張しています」


「帰って来たらお話を聞かせてくださいね。家族公認の旅行ですものね」


「? はい。お土産を買ってきますね! 可愛いキャンディが有名なお店があるそうです」


「きゃぁっ、甘ーいお話聞かせてくださいね」


 きゃっきゃっ。と盛り上がるソフィア達だった。


 甘ーいお話? ってキャンディ……?





 ドレスは仕上がったし、荷造りはリリが張り切っていたし、もうすることはありません。家に帰ってきたらお父様が領地から戻ってきていた。最近は行ったり来たり大変そうです。



「お父様おかえりなさいませ」


「ルビナもおかえり……私はまた領地へ戻るつもりだが、一度ルビナの顔を見てからと思ってな。ジェイ殿とさっき会って話をしてきた、気をつけて行くんだぞ。足りないものはないか?」


 帰るなり心配をかけてしまいました。


「はい。リリが全て準備してくれましたし、足りないものがあれば途中で購入しようと思います」


「そうか、ジェイ殿の言う事はちゃんと聞いて危ないところへは行ってはいけない、もちろん一人になってはダメだ。小遣いは足りるか? 多めに持って行って損はないぞ」



 他国で恥を晒すわけにはいけませんものね。迷子になっても困りますし。お小遣い? という金額ではないお金を渡されました。リリに預かって貰いましょう。


「はい。無事に帰ってきます」


「何があっても私はもう驚かないからな。ルビナは楽しんできなさい」


「? はい。ありがとうございます」


 最近バタバタとジェイ様の周りは変わってきていた。正式にデュランド伯爵を受け継ぐことになってジェイ様はハドソン卿と呼ばれることは無くなった。


 デュランド伯爵とお呼びすれば良いのでは? と一度家族に聞いてみたら「…………」無言になり言葉を濁された。


 ジェイ様が良いというのなら良いのでしょうね?


 ******



レオナルド殿下にハドソン侯爵閣下が出てこられてはうちから断るなんて出来ない……ハドソン侯爵閣下に「これも何かの縁です。酒でも飲みましょう」と言われてルークも呼ばれてしまった。



 あの植物園の記念セレモニーから何かとバタバタし始めた。ルビナは自分の気持ちに気づいているのかわからないが、ジェイ殿と出かけることを躊躇していないし、楽しそうにしているようだ。




「もう婚約するならしてくれ……」




 胃に穴が空きそうだ。のんびりしていたら他の令嬢に取られてしまうぞ……

 領地がないとはいえ、実業家で侯爵家がバックに付いている。他国にも伝手がある。植物園を開放して市民にも人気のジェイ殿だ。


「婚約まではいかないかもしれないけれど、いくらルビナでもジェイ様の事好きになってきているという事に嫌でも気がつくでしょう。デートに行った時もいい感じだったらしいですよ」


 ルビナ母は呑気にお茶を飲みながら言った。


「呑気に茶なんて飲んで、ルビナが心配じゃないのか?」


 ルビナ父はあぁでもない。こうでもない。と忙しそうだ。


「ルビナの気持ちに任せると決めたのだから、私たちが何を言っても仕方がないでしょう?」


「……そうだが、こういう時は男親ってどうすればいいのか分からないものだな」


「娘を信じて、ドンっと構えておけばいいのですわ」


 ……ルビナのことは信用している。我が娘ながら真面目で可愛く謙虚で努力家で最近は明るくなった。元々暗い性格ではないが大人しすぎるところはあったが、最近はよく出掛けるように……相手に不足はないのだがちょっとは何か(悪いところ)ないのか……ないんだよな。


 ******


「お父様、お母様、お兄様。行って参ります」

 

 順番にルビナの頬にキスをして別れを告げた。二十日程で帰ってくる予定。


「ローゼン子爵家の皆さん、ルビナ嬢の事は私にお任せください。しっかりお守り致します」


「ジェイ殿、頼みますよ。ルビナ、ジェイ殿のいうことをしっかり聞いて迷子にならないようにな。リリも頼むぞ」



 リリには特別手当を出すから、旅行中の様子を教えてくれ。と頼んである。

 ルビナに限ってそんな事はあり得ないが何かあったら頼むぞ! と言うとお任せください! ルビナ様の貞操はお守りします! 


 ……それは多分ない。ジェイ殿もこの旅行で手を出す事はないと言い切れる……



「はい。ジェイ様から離れないように一人で行動はしません。国外で迷子になったら困りますもの」



 そう言ってルビナは出掛けて行った。あんなドレスを持っていたか? え? 新調した? それは良いがテイストが変わったか? え? 生地をジェイ殿にプレゼントされた? そ、そうか……似合っていたな。デザイナーが変わった? そうなのか。センスが良いんだな。お前もドレスを作った? あぁ、良いんじゃないか! 欲しいと言っていたからな……え? ジェイ殿に紹介されたデザイナーだったのか。

 


 もう考えるのが面倒になってきた。金があって顔が広くて何よりだ……あれは貢ぐタイプだな。

  

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