植物園のオープン記念に招待されました。
ジェイ様の植物園がオープンすることになり、セレモニーをするとの事で沢山の貴族が訪れていました。中にはこの植物園のスタッフやそのご家族もいたりしますが貴族席とは離れた場所で参加していました。何かトラブルがあっては困りますものね。
私は友達を誘っておいで。と言われてソフィアさんと一緒に参加しました。もちろん家族も一緒です。
ジェイ様のご家族を見るのは初めてでしたがさすが侯爵家の方! 皆さん高位貴族と言った感じです。
ジェイ様のお父様が長男の方に爵位を譲るとの事でこの植物園が侯爵として最後の事業なのだそうです。スピーチで言っていました。
この件を聞きつけジェイ様の留学時代のお友達も来ているようですが……
「ルビナ嬢、よく来てくれましたね。ソフィア嬢もようこそ。楽しんでくださいね」
今日のジェイ様は正装をしていてとても素敵です。
「ジェイ! バラ園が見事だった、腕のいい職人を見つけるのが本当に上手いな」
ばんばんっとジェイ様の背中を叩いてジェイ様はゴホゴホとむせ込んでいました。
「力加減に気をつけてくれ!」
「悪い、悪い。もっと鍛えなきゃ、そんなヒョロい体じゃモテないぞ!」
「おまえらと一緒にするな!」
……はわわわっ。大きな人達がジェイ様と仲良くお話をしています。
「ん? この可愛らしい子は……もしかしてジェイの……」
「彼女は、」
「ジェイ、やるじゃないか! ちゃんと居たんだな。やぁ、おれ、っと。私はジェイの留学時代の友人でレオナルドと言います。気軽にレオと呼んでくれて構わない」
体が大きいけれど気品のある感じがした。レオ様と仰いましたよね?
「レオ様? 私はルビナ・ローゼンと申します。ジェイ様にはいつもお世話になっています」
「そうか! 安心した。こいつ学生時代から女っ気がなくて心配していたんだ。ルビナちゃんのような可愛い子がタイプだったんだな」
あっはっは……と豪快に笑い出した。それにルビナちゃんって。気取らない方のようです。
「ジェイは男色なのかと思っていたが」
「オイ、いい加減にしないと怒るぞ!」
「ははは。悪かった許せ」
ばんばんとまた背中を叩くレオ様にむせるジェイ様。それにしてもレオ様と一緒にいる人達も大きな人ばかり。
「ルビナ嬢、この方の国ではみんなこんな感じで鍛えているんですよ。筋肉がついている方が女性に人気で、ゴリラのような、」
「オイ、一国の王子にゴリラっていう奴はおまえくらいだぞ」
「ルビナ嬢が困っているから仕方ないだろう? 何が王子だよ、」
「え? 王子様なんですか? 私大変失礼な事を」
冷や汗が……だって軽々しくお名前で呼んでしまいましたよ!
「してません」「してない」
ジェイ様とレオ様の声が重なる。
「ジェイとは単なる友人だ。王族だったらこんなところに気軽に来れないからな」
「こんなところで悪かったな!」
「ほら、こんな失礼な男もいるんだから気にする必要は全くない。ジェイ、そんな細腕でルビナちゃんを守れるのか? 訓練サボってるだろ! ルビナちゃんコイツ本当にモテないだろう? 良いの? こんなで?」
バンっとジェイ様の背中をまた叩いた。
「? ジェイ様は素敵ですよ。いつも助けて貰ってますし感謝しています」
首を傾げて不思議そうな顔をするルビナ。
「オイ、良い子だな……逃すなよ」
「逃すつもりはないけど、まだ口説いてる途中、」
「はぁ? どんな奥手なんだよ! 一生結婚する気ないのか?」
「色々あるんだよ、私のことはいいんだよ。それよりレオの結婚式はどうなっているんだ?」
「その件だが、あのバラ譲ってくれ」
「……どのバラ?」
「新種なんだろ? 俺の結婚式で使うと宣伝になるだろう? 宣伝費が浮くぞ」
「断る!」
「ケチ臭い男だな!」
「私にも考えがある。だからアレはだめだ」
「ケチだな!」
レオ様達は会場に戻っていった。
「うるさい友ですみませんね。驚いたでしょう? 身体はでかいし口も悪いし……アレで元王子なんですから」
「気さくな方でしたね。大きな身体なのに品があって」
たしかに口は良くなかったけどれど嫌な気分は全くない。不思議な方。ジェイ様は友人と話をすると口調が変わるのですね。
「私の屋敷に滞在してるので暫くは賑やかでしょうね……」
「そういえば、ジェイ様の学生時代ってどんな感じだったんですか?」
「私に興味を持ってくれたんですか? それは話すと長ーくなりますので、また次回と言うことで……これでまたお会いする口実が出来ました」
「……ハイ」
今日もジェイ様のペースになった。
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ニヤニヤとその様子を見ているソフィアと兄の婚約者シンシア。
「上手くいきそうじゃない!」
「ルビナさんも満更じゃなさそう。ルビナさんの恋を応援をしているクラスの皆にも報告しておくわ!」
「……あ、ソフィア見てルークが面白くなさそうな顔をしているわ」
「仕方ありませんよね。ルビナさんのお兄様は心配性ですもの」
「見て見て! ローゼン子爵とハドソン侯爵がお話をされているわ!」
「きゃぁ!」
「握手しているわ」
「きゃぁ!」
楽しそうな二人だった。




