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ルビナ母


 ~ルビナ母視点~


「お迎えに参りました。さぁ行きましょう」


 改めてデートと言われて困り果てるルビナでしたけど、結局デートに行く事になった。


 ジェイ様にモリソン子爵家での話を聞いた。大人しいルビナが傷つくんじゃないかと心配していたけれど、逆にディートにダメージを与えたと聞いた。


 婚約当時は大人しいルビナをディートが引っ張ってくれれば良いと思っていたけれど、ディートは単なる自分勝手な男だった。

 モリソン子爵も胸を痛めているし、良好だった関係に一線を引く事になった。隣り合う領地だから争いごとはしたくない。でも親として娘は大事だからディートは許せなかった。



 そんな中でディートがルビナに婚約の解消の取り消しを求めてきた? バカにも程がある。


 こっちが解消したのに理解していないわけではないでしょうに……慰謝料と迷惑料をとモリソン子爵夫妻が謝罪に来た。後継は娘のセシルさんに決まったそうでディートは廃嫡となった。



 苦渋の決断だったでしょうが、息子を守るとお家取り潰しの可能性も出て来る。

 父というより当主としての決断だったのでしょう。子育てに失敗した、と悔やんでいたけれど変わったと感じたのは学園に入った頃から? 友人とは大事なもので、ルビナは良い友人に恵まれたようであの子自体も変わったし何より楽しそうだった。



 置き去り事件で出会う事になったジェイ様とは何かしら縁があったみたい。

 ジェイ様はルビナに興味を持って接してくれているし、夫にもルビナとの将来を考えていると言っていたようだし、後はルビナに任せる。なんて言いながらジェイ様のことを調べたみたい。





 答えは【シロ】




 留学時代まで遡り調べたんですって……懇意にしている女性はいない。女性と話をする場合は学園内か現在の商売に関する事ばかりだったよう。因みに留学先ではモテるタイプではなかったと報告があがった。


 なんでも筋肉ムキムキな男性がモテる国なんだそう。たしかに国王陛下も筋骨隆々で軍服がはち切れんばかりの肖像画が人気だった。


 ジェイ様は細身だけれど服の上からでも分かる、鍛えられている体つきと言う感じ?

 


 夫はルビナに任せよう。わざわざ出掛ける際に娘の親に出かける許可を取るような男だし、コソコソする気はないと窺える。

 それにルビナも……はぁ。と言って言葉を濁した。ルビナがジェイ様に好意を持ち始めた事が私達には分かる。



 夫は領地に帰り、前モリソン子爵夫人と話をしに行った。前モリソン子爵夫人のご実家は騎士を輩出する家で、幼い頃から遊び相手は騎士達で剣術を嗜んでいた。曲がった事は嫌いな方なので、甘ったれたディートを任せるには適していると思う。モリソン子爵も家を継ぐ前までは騎士になる為にと厳しく鍛えられていたもの。


 夫が不在の為、ジェイ様が私に報告をしてきた。その後にデートにお誘いしても良いですか? と許可を求めてきた。ルビナにも伝えてあるとの事。娘が良いと言うならどうぞ。と返答を返した。






「良い方じゃないの? 何度も出かけているんだから」


 ルビナがどうしよう。と相談してきた。


「それはそうなんですけど……だってデートって初めてで」


 ディートと出掛けていたのはデートではなかったのかしら……


 名前を出すのは水を差すようなのでやめましょう。




「舞台に行ったり、工房へ行ったりしたじゃないの?」


 二人? で出掛けるのは初めてではないのに。


「あれは……デート、じゃないですから」



 ……違いが分からないわ。ごめん、ルビナ。頬を染めて可愛いけれど。



「行かなかったと後悔するより良いんじゃないの? 若いうちに色々と経験しておく事が大事なのよ……悩むくらいなら行きなさいな」


 背中を押してみた。


「……何を着ていけば良いのか分からないわ」


 ……女の子だわ! 【デート】だものね。デートというシチュエーションは憧れるわよね。


「ふふっ……ルビナが好きな物を着れば良いんじゃない? まだお互いの事をよく知らないのだから、変におめかしするより良いと思うわよ」


「リリに相談してみます。お母様ありがとうございます」


 

 そうして迎えた当日。


 ……我が娘は可愛い。


 シルバーヘアーにグリーンの瞳。細身の体にグリーンの葉をポイントにしたワンピース。小物をピンクで差し色にして若い令嬢としては完璧なデート服。


 胸元まである髪の毛は編み込みハーフアップにしてリボンで纏めてあった。


「お母様、変じゃない?」


「変どころか……とっても可愛いわよ」


「そう?」


 なぜかガッカリとしている様子のルビナを見て聞いてみる。


「どうしたの? こんなに可愛いのにそんな顔していたらもったいないわよ?」


「ジェイ様といたら……もっと大人っぽい服の方が良いとか?」


 ……女の子だわねぇ。



「ルビナが好きな物を着るのが一番。ジェイ様もその方がいいと思うわよ? ルビナはジェイ様がルビナに合わせて妙に若々しい服装をしてきたらどう思う?」


 男性からしたら少し背伸びをした女の子は可愛く映るでしょうけど、逆だとちょっと……考えたくないわね。



「ジェイ様はジェイ様に似合うものがあると思います」


「そういう事! そろそろ時間でしょう? ハンカチとリップは持った? お金は足りる?」


 デートに誘うくらいだからジェイ様が支払いをしそうだけど、念のためにお金を持たせないと……ジェイ様に限ってないとは思うけれど、帰れなくなった時には馬車を拾えるように……


「はい」



 ちょうどいいタイミングでお迎えが来た。因みに先日話をしていた時にハドソン卿などと呼ばないでください。と言われたので名前で呼ぶ事にさせてもらった。ルビナと話す時はその方が良いみたいね。公の場でお呼びしませんけどね。

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