送ってもらいました。
「それはご両親の言う通りです。知らない人に付いて行ってはいけません。しかし私は困っているレディを放っておいて良いという教育は受けていないのですよ。しかしレディの言う通り知らない男と二人になる。ということは世間体も良くない事だと思います。私の店の女性スタッフを呼んできますので少々お待ちください」
オーナー様は女性スタッフを呼んできてくれた。そして馬車も用意してくださり送ってくれた。女性スタッフさんは私を送ったらこの馬車でそのまま帰っていいと言われたそうで、今日は早く帰れるわ。と喜んでいた。
迷惑をかけたのにそんな事を言ってくださって助かりました。
屋敷に着くとお母様はどうしてディートと一緒じゃないのかと聞いてきた。
「いつの間にかはぐれてしまいました。はぐれた先のお店の前で待っていたのだけどディートと会うことが出来ませんでした。困っていたところをお店のオーナーのハドソン様という方が馬車を出してくださって帰ってくることが出来ました」
お母様はすごく怒っていて、暫くは外出禁止と言われました。元々そういう約束ですから仕方がないと思いました。
もしオーナー様が悪い人だったら私は今頃捜索隊のお世話になっていたかもしれませんし、最悪人攫いに……と考えるとゾッとしました。
「申し訳ございませんでした。見知らぬ方に送ってもらうことになってしまいました。お断りはしましたが、オーナー様は帰る術を知らない私に親切に女性のスタッフさんまで呼んでくださいました」
お母様にお世話になったお店の特徴とオーナー様のことを伝えると、オーナーであるハドソン様のことをご存知のようだった。
「ハドソン侯爵の三男の方ね。たしか昨年留学先から帰っていらしてお店をオープンしたのよ。輸入小物が好評だとお茶会で話を聞いたことがあるわ。旦那様が帰ってきたら、今日の事を説明してハドソン様にお礼をしなくてはいけませんね」
オーナー様には感謝の気持ちしかない。お礼をしなくてはいけませんが、お母様がお父様に任せると言うのなら、お任せしようと思った。子供の出る幕ではなさそうです。
「それはさておき! ディートよ! なんでルビナを放っていなくなっちゃったの? それに他の令嬢とどこかへいくなんて許せないわ。何が暗くなる前に送り届けますよ! 嘘をつくくらいなら喋れないようにあの口を縫い付けてやろうかしら!」
お母様は憤慨している。
「ディートにも何か考えがあったのかもしれませんし、無事に家に帰ってこられたので……」
「これはそういう問題ではありませんし、あなたたちだけの問題ではないのです! 大事なルビナの身に何かあってからでは遅いのです! ディートに何か考えがあったかもしれないと言うのならその考えを聞きなさいな!」
明日はランチの約束がないけれど朝ディートに会ってみよう。ディートは少し抜けたところがあるからついうっかりパトリシアさんと来たと勘違いしたとか?
……って流石にそれはないわよね。
無事に帰ってこられてよかったけれど今頃ディートは何をしているのかしら? 私のこと思い出してくれたかな……