表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/100

ローゼン子爵(ルビナ父)


「……それは賛成出来かねます」


 ジェイがルビナの父ローゼン子爵に話があると会いに来た。これで何度目だろうか……またどこかにルビナを連れて行くとかそんな話かと思っていた。連れて行くなら場所を選んでくれ……



「ローゼン子爵が思っているよりもルビナ嬢は子供ではありませんよ」


 いつまでも子供で甘えていてほしいと思うのは親のエゴだろうが、可愛い娘がなぜ自ら傷を付けられにいかなくてはならないのか……


「私にとってはいつまでも子供です。それに親同士で話は付いていますし、」


「えぇ。それは重々承知しています。でもそれは親同士の話であってルビナ嬢の中ではまだ、終わっていない話なんです。終わった話ではなくルビナ嬢からしたら強制終了された。そんな気持ちなのです。彼女は優しいですからそんな気持ちを表に出さずに“友達の話”として話をしてくれました。それを聞き私は今回子爵に会いにきました」



 子供の頃から知っているが、モリソンの子息は普通ではない。またルビナに酷いことを言ったら私自身が耐えられるかどうか……


 かと言って私がルビナと行きモリソン子息の顔を見ると感情的になってしまう可能性もある。ルークも同様……ルビナの願いを叶えるには……



「モリソン子息は普通ではありません……もしルビナが傷つく事があったら……そう思うと賛成はできませんが、ルビナがハドソン卿と行くと言うのなら……あの子はどうも絡まれやすい様で……一人になるなと言っているのにちょっと目を離した隙に絡まれる様な子なんです」


 一人にさせている時間もないのに……護衛を付けるしかないのか?


「えぇ。彼の蛮行を聞くと普通ではないという事がよーく分かります。しかし領地に篭る前に一度話し合いの場を設けさせていただきたいのです。私はルビナ嬢の気持ちを汲んだまでで、もちろん傷つく様な言動や行為があれば全力で阻止します」



 そういってハドソン卿は頭を下げた。そこまでされると許すしか出来ない……


「はぁ。分かりました……それにしてもなぜハドソン卿はルビナにそこまでしてくださるのでしょうか? 面倒事にまで付き合って下って……」



 前から気になっていた、いつ聞く? 今しかない。



「それはご想像通りですよ。ルビナ嬢のことを好んでいますから、いつかは私に目を向けてもらいたいのですよ。まず元婚約者殿との事をサッパリさせないと前に進みませんからね。私の為でもあるんですよ」



 ……ですよね。その気持ちが聞けただけ良しとするか……



 ハドソン卿は領地はないが商売は上手くいっている(今のところ)領地があっても経営が下手で破産寸前の家もたくさんあるからな。領地があるからといって生活が保障される訳ではない。面倒なことも沢山あるが領民が平穏に暮らしている姿を見るとやり甲斐がある。



 後ろ盾は侯爵家。王都に屋敷があり王都に住んでいる限りモリソンの子息と会う事はない(領地からは出られない)爵位は伯爵で自らも精力的に働いている、他国との繋がりもある。


 ルビナとの年齢は五歳差……ルビナにはちょうど良いのかも知れない。もし何かあっても、ハドソン卿は他国とのつながりがあるからルビナを逃してくれるだろう。娘には幸せになってもらいたい。ルビナがハドソン卿に好意を持つのならそれを止める事はできない。


 頭の中をフル回転させて出した答え。



「……ルビナの事を裏切ったら私は貴方を許しませんよ」


 にこりと笑うジェイ。


「えぇ。お許しをいただきありがとうございます」



 ハドソン卿は次はモリソンの家に行くと言って帰って行った。必ず許可を得て行動するところは嫌いではない。


 それにしても仕事もあるだろうに、毎回毎回こうやって許可を取りに会いにくるんだよな……真面目なんだろう。そうじゃないと困る。



 本格的に調べてみようか……


 ルビナ父はジェイの身辺調査をする事にした。婚約をするにあたってはごく普通の事だっだ。調べられて困るくらいなら初めから困る様な事をしなければ良いだけだ。



 いざ婚約をしてから恋人がいた。とか、兄弟に問題児がいる。とか、家が没落寸前だった。とか、素行が悪い。とか……婚約後に分かっても既に遅いのだ。



 



 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ