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社交界2

「ジェイ様は先程、姓が変わると仰いましたがお聞きしてもよろしいですか?」



 ハドソン様とお呼び出来なくて名前で呼ばせてもらっている。


「あぁ、そうだった。話が逸れてしまった。私には兄が二人いるんだけど、上の兄が(侯爵家)を継ぐことになって、私は父が持つ伯爵位を頂戴することになるから近いうちにデュランドと名乗ることになります。と言っても領地もない名前だけの伯爵位なんだ」


 伯爵様になるのね。それなら尚更……


「そうでしたのね。それではデュランド伯爵様とお呼びしないといけませんのね」


「ジェイで良いよ。それよりもあの後喧嘩にならなかった? あの彼は少し気が立っていたようだけど?」



 あの彼……あの後……喧嘩……! あぁディートの事を言っているのね……お世話になったとはいえこんな事を言うのは気がひける。



「……えぇ。まぁ」


 なんとも言えなくて取り敢えず笑っておいた……


「何かあったのは確実だね。彼は婚約者?」



 二人店に行ったのは知られてるけど関係性までは知らないということよね。うーん。まぁ終わったことだから隠す必要もないから……



()婚約者でした。婚約の解消をしましたので、えぇっと……」


 うまく説明が出来ません。





「え、それは申し訳なかった。不躾な質問をしてしまいました」


 驚くジェイ様。この変な空気なんとかしなきゃ。


 ……何か話題……? どうしましょう。気の利いた会話が出来ませんっ!







「おー! ジェイ久しぶり。元気そうだな。んんんっ? 君は……ルビナちゃんか!」


 声をかけてきてくれたのは本日の夜会の会場である伯爵家の嫡男ザック様だ。


「あれ? 二人は知り合い? ジェイは去年帰ってきたばかりなのに店をオープンしているし活躍してるね。ルビナちゃんは……えっと、元気か、な?」


 ……おばさまから私の事を聞いているようで微妙な顔をしていた。



「店はやっと軌道に乗ってきた所ですよ。ザック殿も是非一度店に遊びにきてください」



「そうだな。いくよ! それとルビナちゃん、デビューおめでとう。あの小さかったルビナちゃんがもう社交しているなんて感慨深いよ。いつもルークの後ろに隠れていて可愛かったなぁ」


 腕を組みうんうん。と頷くザック様。


「ザック様はおじさまに似てきましたね」


 にんまりと笑った。



「ルビナちゃん言うようになったね。少し雰囲気が変わったようだけど今の方が良いと思うよ。元気そうでよかった」



 ザック様に頭を撫でられた。せっかくスタイリングしてあるのに……無言でそれを受け入れた。



「ザック殿レディの髪に勝手に触れては失礼でしょう」


 呆れ気味のジェイ様。


「ジェイにしてみたらルビナちゃんはレディかもしれないけど、私にしてみれば妹のような存在で可愛らしいんだ。可愛いものをみたら撫でたくなるだろう?」


 子供か動物扱いされている……



「む……お兄様も頭を撫でてくるのです。やめてと言っても笑って誤魔化されます」



「それはちょうどいいところにルビナちゃんの頭があるからだよ。でもこれからは気をつける。私は他にも挨拶をしなくてはいけないから行くが二人とも楽しんで」


 手を振って挨拶する為に会場に戻ってしまった。



「ルビナ嬢はザック殿と親しいのですね」


「両親が伯爵様と親しくさせていただいていて、私もお会いしたことがあります。ザック様とは数年ぶりにお会いしましたが……あまり変わりませんね。ジェイ様は親しいのですか?」


 親しげに見えたし単なる顔見知りというわけでは無さそう。



「ザック殿は幼い頃から知っています。留学をしていたので私も会うのは数年ぶりですがルビナ嬢の言う通り昔からあまり変わりませんね」


 ふふふっと二人で笑った。ジェイ様はとても話しやすい方だと思った。





「ルビナ。ここにいたのか、ダンスに誘いに来た」


 ジェイ様と話し込んでいたらお兄様に声をかけられた。お兄様はお父様にジェイ様の事を聞いていたようで。先日送ってくださったことに対してお礼を言っていた。



「ルビナ嬢。良かったらお次は私と踊ってくださいませんか?」


 ジェイ様に誘われてなんとなく、お兄様を見た。



「ルビナがいいならいいんじゃないかな? ダンスをするのも社交の一環だけど足だけは踏まないように。地味に痛いんだよ……」



「はい」

 


 お兄様とのダンスは練習通りうまく踊れたと思う。ジェイ様とのダンスは緊張して足がもつれてしまったけど、ジェイ様がカバーしてくれた。



「すみません。まだ慣れていなくて……次の夜会までにはもっとうまく踊れるように練習してきます」


 足がもつれてしまって、カバーされないと転んでいたかもしれないもの。練習しなきゃ。



「また私と踊ってくださるという風に捉えますよ?」


 ……そんな風に捉えられるの? 不用意なことは話さない方が得策なのね。



「社交とは難しいのですね。変なことを口走りそうです」


 ジェイ様に呆れられたかもしれませんね。まだまだ大人への道のりは険しそうです。



「ルビナ嬢はきっとすぐに素晴らしいレディになれますよ。貴女は素直で若いから伸び代しかありません。それに私の前でなら変なことを口走っても構いませんよ」



 どう言う意味かは分からないけれどジェイ様の言葉にドキッとしたのは内緒。


 

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