最終話
私達の結婚式は王都郊外の植物園で行われました。結婚式は教会で挙げるものだからと、反対の声もあったようですが、皆さんの協力のおかげとジェイ様の働きにより無事に植物園で式を挙げることが出来ました。
教会の方も植物園で式をするにあたり、協力をして下さった結果ですね。これには感謝しかありません。ジェイ様と共に教会へのご挨拶、寄付などもしてきました。これを世間で言うところの根回しと言いますね。
前日にお父様とお母様に笑っていなさい。と言われていたので、私はその言葉を胸に笑っていました。泣きそうになった場面もありますが……堪えました!
ウェディングドレスはジェイ様こだわりの、シルクを使っていて植物園にしか(今のところ)咲いていない薔薇をモチーフにしたドレスで清楚な可愛いデザインでした。
肩や背中が開いているドレスで当初は驚きましたが、ベールを付けると透ける感じがしました。お母様ったら前日まで内緒にしているんですもの。
ベールを付けるとこうなる! と計算し尽くされているのですね。ガーデンパーティーでは別のドレスを着ますからね。
最後にティアラをお母様に付けてもらいます。結婚式のティアラはお母様に付けて貰うのが風習です。
このティアラは侯爵家の宝の一つで、こんなに大きなダイヤモンドは見た事がありませんでした……もうこんな大きいダイヤモンドはとれる事が無い。とも言われているようです。
義姉様方もこのティアラを付けて結婚式を挙げたそうで、その話を聞くと侯爵家の方に存在を許されたような気持ちになりました。胸元を飾る首飾りはレースのようになっていてドレスと合わせると、胸元が開いているのが気にならない可愛いデザインのものでした。
ブーケも例のバラをメインにして、白とグリーンの可愛らしい形をしたものが用意されていました。ブーケは私がリクエストしました。
耳飾りも同じデザインで動くと揺れるタイプの物。これは侯爵家からのプレゼントでした。怖くて金額が聞けませんし、終わったらすぐにしまっておかなきゃ……
さて、アクセサリーを付けて完成です。鏡の前に立つと、自分ではないような、美しいお姫様がいました……やはりジェイ様に選んでもらって良かったです。いろんな効果で三倍増しです……
お母様もメイド達もみんな感嘆の声をあげていました。そこにお義姉様達お義母様やシンシアさんも来て、すごく驚いていました。自分で言うのもなんですが、私の人生で一番綺麗にしてもらいました。この一週間はずっと磨かれていましたからね。
本来ならジェイ様も、一緒に来る予定だったようですが、お義母様が式までお預けと言ったらしく、出入りを禁止したようです。
ジェイ様かっこいいんだろうなぁ……
そして時間になりお父様と腕を組みました。お父様は私の姿を見て一瞬、綺麗過ぎてどこのお姫様かと思ったよ! と言って笑っていました。お父様が笑っているので私も笑います。約束ですからね。
そして式場……といっても屋外ですが、ジェイ様の待つ祭壇までお父様とそろそろと歩きました。たくさんの方達に視線を寄せられて恥ずかしくて伏目がちになってしまいます。そしてジェイ様が手を出してくれたのでそっと手を取りお父様と離れました。
やっぱりジェイ様は素敵です。スタイルがいいので白が似合います。おでこも全開でハンサムです! こんな素敵な人と結婚できるなんて私は幸せだと思い、自然と笑顔になりました。ジェイ様も微笑んでくれて、式が始まりました。誓いの言葉をお互いにし、誓いのキスをしました。皆さんの見ている前でキスをするなんて恥ずかしいですが、とてもとても幸せでした。
祭壇の後ろには例のバラのアーチが! 祭壇と白いバラが相まって幻想的で美しいものとなりました。
式が終わり皆さんに拍手をされました。私達は笑顔でそれに応えました。今から場所を移してパーティーとなります。
私のブーケはお式を控えているレイチェルさんに渡しました。ソフィアさんから始まったブーケのバトンのようですね。
ジェイ様は私の姿を見て美し過ぎて驚いた。と言ってくれました。そしてぎゅっと抱きしめて“幸せになろう”と言ってくれました。
そこは“幸せにするよ”ではないのですか? と聞くと“二人で幸せになりたいから”と答えが返ってきました。
ジェイ様のそういうところが私は大好きです。
ガーデンパーティーは天候が良かった事もあり、華やかなのに、自然に囲まれてとても心地よいものでした。
挨拶に回っているとジェイ様から今日はある発表がある。と聞かされました。私は何も聞いていません……
夕暮れが近づき、パーティーを終えるときにジェイ様は皆さんに感謝の気持ちと、例のバラの苗を皆さんの家に届けると言っていました。庭を大事にする貴族にとって新種のバラのプレゼントは嬉しい事でしょう。皆さん拍手をして喜んでいました。
そしてバラの名前を聞いてビックリしました。
【ルヴィ・ホワイト】という名前なのだそうで、ルビナのような白いバラという意味があるそうです……自分の名がついたバラでした。すごく嬉しい驚きでジェイ様の愛情を感じる事が出来ました。
そして少し揶揄われるようにヒューヒューと言われました。
レオナルド様は『ご馳走さん』と言って呆れていました『そりゃ俺の結婚式に使わせてくれないはずだ』と言って笑っていました。今日のレオナルド様の装いは王族! と言った感じで場を華やかにしてくれていました。
今回のガーデンパーティーはたくさんの人が集まってくださったけれど、それとは別に結婚披露会も王都で行う予定です。今回は親族や親しい友人達をメインに。披露会では家同士の付き合いの方や貴族達が集まってくださります。
領地がある貴族は王都で、お互いの家の領地で……と何度も式を挙げる家もあります。
皆さんを見送ってから、私たちも新居となるデュランド伯爵家に到着しました。馬車を降りると(通称)お姫様抱っこをされ、エントランスへと行きます。執事長、メイド長を始め使用人一同がずらっと並んでいました。
花嫁はこうして新郎に抱かれながらエントランスを潜ると幸福になるというジンクスがあります。そしてようやく私は降ろされました。
『旦那様、奥様おかえりなさいませ』
執事長の一言で一斉に頭を下げました。
『これからも妻ルビナと共によろしく頼む』 ジェイ様が挨拶をしました。
『至らない点も多々あると思いますが、皆さんよろしくお願いします』
私も続いて挨拶をしました。
皆さん拍手をしてくれました。暖かい拍手は歓迎されているようで嬉しかったです。
その後、メイド達によって全身を洗い上げられ夫婦の寝室へ行くと、既にジェイ様が待っていて……
おいで。と言われてドキドキして心臓が止まるかと思いました。
『結婚まで長かった……愛しているよ』
と言われて口付けをされました。今までの口付けとは違う……濃厚な、初めてで頭が沸騰しそうでした。だってジェイ様が色っぽくて……
その後は……大変でした。
ジェイ様は……その、ケダモノでしたのね……
意識がなくなり寝てしまったようで陽が高くなり、目を覚ますと生まれたままの姿でジェイ様に抱かれていました……
『おはよう、愛しているよ』朝から甘い言葉で私を甘やかしてきて……その後も……
一週間部屋を出る事がありませんでした。ここから新婚生活が始まります。
~完~
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今回で最終回です。最後までお読みいただきありがとうございました!
 




