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第24話「……この、悪魔……」

 ──さて、適当に煽ってみたが……反応は中々いいか。


 まず整理しよう。

 彼女のあの魔力は明らかに彼女自身の魔力ではない、【不純魔力】が混ざっている。

 ただ、それが感情の高ぶりによって現れたものかどうかは分からない。

 彼女は魔力を常に隠すような状態で過ごしているらしい。

 もしくは、元の魔力が少ない状態で他の物の魔力が鑑賞しているかだが。

 まずそれはそれとして、もう一つの謎が、彼女の眼だ。


 あの眼は確か、《悪魔の瞳》とか《狂戦士の魂》とかって呼ばれていた気がする。

 そうだな、この眼の意味するモノは、何者かによる干渉、圧倒的な何かによる強制力など、自らの意思とは反した力、意思が付与された時に現れる物。

 だが、その場合、彼女は神と契約を結んだわけではなく、一方的な能力付与という事になる。


 ただ、神がそんな事をするとは思えない。


 神とは、信仰による能力付与が主であるため、契約も無しに自ら能力を与えることはまずない。

 ならば彼女のあれは、何かと言うと、《無契約神降魔法》と呼ばれるものだ。

 この魔法は、契約なしに神降魔法が使えるという物ではなく、一方的に能力を与えられる、神威を一時的に投げ渡されるなど、つまるところ、神がその能力を放棄する時に用いられるものだ。

 だが、神はその能力を手放せば存在が消えてしまうため、まずそんな事を自らする神はいない。


 ならば、何者がこんな事をしたか、見当はついている。


 それは、《神威を持った悪魔》だ。


 悪魔と言えば、人に害をもたらす者として知られているが、必ずしもそんな奴ばかりではない。

 例えば、気まぐれに人を助ける事もあれば、善良な心をもって人と接する悪魔もいる。

 そんな悪魔の中に、稀に、《神威》を持ち始める物がいる。

 だが、悪魔の場合、神威は自らの力を上げる物では無く、逆に力を落としてしまう物だったりする。

 偶に、それで力をあげる者もいるが、性質上、悪魔の持つ力は神威に弱い。


 そんな悪魔が、神威を持った場合に用いられるのが、《無契約神降魔法》、この魔法だ。

 他の、神威に耐性のあるものに丸投げするのだ。


 だが、神威を常に発動できるようになるわけでもなく、神威を手に入れたことも知らずに死んでしまう者もいれば、それに気付き研究や、我が物にしようとする者もいる。

 ただ、大半はその能力にリミッターや、何か条件が設けられている事だろう。


 そして彼女の発動条件は、彼女の身に迫る死や身の危機だろう。


 なので、殺気を向けてみる事にしよう。


 少女を煽りつつ、大体の考えがまとまったところで、突如として拳が眼前に現れる。

 それを適当に下向きに逸らす。


 すると、途端に砂煙が俺達の姿を隠す。


 中々目の前が見づらいな。


 俺が魔力で少女の動きを観察していると、突如として司会が叫び始める。


 『おーーーーーーっと!!どうやら!あの期待の1年、三簾世冥君ですら生徒会の力の前には平伏す事しか出来ないのか!!!』


 何故こんな攻撃でやられなければならないのか、せめて昴位容赦の無い攻撃でもない限り真面に戦う事も出来ないぞ。

 さて、まあとりあえず、殺気を一端出してみようか。


 刹那、防護結界が展開される気配がする。

 どうやら少し殺気が強すぎようだ。

 そこまで殺気は出していないと思うのだが、あまり強い相手に出くわさなかったのだろう。


 「……この、悪魔……」

 

 中々に言ってくれるじゃないか!

 ぶっとばすぞ!

 魔法使わないとか言ったけどデバフ魔法百個くらいかけてやろうか!!


 ふう、心を落ち着かせて……。


 「悪魔?お前には言われたくないがな」


 やべ、思いっきり意地悪な笑みを浮かべて行ってしまった。


 少しの沈黙。

 そして、次の瞬間、彼女の体の中から、魔力の膨張を感じ取る。

 それは、徐々に膨らんでいき、まるで爆発寸前の風船のように膨れ上がる。

 と、破裂寸前まで膨れ上がった魔力は一気に収束し、高密度に圧縮される。


 彼女の、後ろ髪、絹のように真っ白な美しくも儚く派手なその髪に、白銀の輝きが宿り、今までとは比べ物にならない魔力が溢れ始める。


 「さて、第2ラウンドと行きますか」


 そして彼女の瞳に、血のように赤黒い、力強い死の体現する様な光が灯った。

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