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第14話「どこみてんだ!!」

少し急いで書き上げたので、変な部分があるかもしれませんが、また少し編集などを随時行う予定です。

 ──試合に使われる擬似世界は毎試合ごとに作り替えられ、ある人にはハンデに、ある人には好都合な領域に成り代わる。

 そうして、今回の第6試合の選手生徒の片割れである、勝龍昴にとってはこれ程までに好都合な場所はないと言う程の最適領域。

 その足場は一面『砂』。

 昴はその靴の色を砂で少し濁らせながら相手生徒に向かい合う。

 相手生徒は、5年の先輩。

 それもAクラスと言う。

 実力にはかなりの差があるだろう。


 良くも悪くも、昴には好都合な訳だが。


 「さて、棄権したまえ。」


 そんなことを言い出したのは、相手生徒。

 昴はされど変わった様子はなく、なおも着崩したブレザーに隠れたズボンのポケットに両手を突っ込んで佇んでいる。

 その様子を見て、相手生徒は何を思ったのか、溜息をついて優し気な笑みを浮かべ、昴に声をかける。


 「悪かった、少し言い方がきつかったな。そこまで委縮する必要はない。さあ、棄権してくれ。後輩を傷つけたくない。」


 と、優しい声音で昴に棄権を進める。

 事実、彼は後輩を傷つけたくないと言う慈愛の心でそんな事を言い始めたのだが、昴にそんな物は必要なかった。


 「ああ、そうだな。俺も、敬うべき先輩を痛めつけるなんてことはしたくねぇ──」


 そう言うと、ポケットに突っ込んでいた右手を引き抜いてゆっくりと持ち上げ、〝相手選手に突き出す”。

 と、朱炎色の魔法陣を展開するとその顔を嗜虐的に歪めて叫ぶ。


 「──だから痛みも感じねぇくらいに一瞬で消し飛ばしてやらぁ!!」


 普段の少しヤンチャな素行からは想像もつかないほど残酷な顔でその魔法を発動する。

 と、魔法陣と同系色の炎砲が相手生徒に向かって伸びる。

 その炎砲は龍の様にのたうち回り、半径数キロをガラス状に変えてしまう。


 「他愛もねぇ」


 「へっ」と鼻で笑うと同時、真後ろから声が聞こえる。


 「危ないな。思っていたよりもやるようだ。」


 そんな声と同時、天空から幾千と光の柱が降り注ぐ。

 それは、地面を貫き、其処にあった砂を赤熱化させ、練り飴のようにドロドロに溶かす。

 もはや溶岩と言ってしまっても差し支えの無い相貌に変える。

 そんな死光の雨を、昴はオリジナルの魔法を使い弾く。


 「んな小細工効くかバーカ!!」


 昴がそう言うと同時、空中で光柱が粒子状に霧散する。

 その魔法の使用者である相手生徒が困惑の声を上げる中、その現象を引き起こした張本人である昴が砂の上で高笑いを浮かべる。


 「ハハハハハハハハ!!ビビったか!これがてめぇが馬鹿にした一年生の実力だよ!」


 刹那、足場であったはずの砂が陥没するように大穴を開けて弾け飛ぶ。

 そこで相手生徒が気が付く。

 昴の影が何処にもない。

 必死に周囲を見渡すが、見つかる筈もなく、只々焦燥感が募る。


 「どこみてんだ!!」


 刹那、後ろに視線を向けると、其処には無かった筈の砂塵の煙幕が舞い上がり、其処に影が一つ。

 その影が目にも留まらぬ速度で動いたかと思えば、砂塵の煙幕に穴をあけて昴が現れる。

 と、相手生徒の腹部に今までに感じた事のない衝撃が走る。


 そんな痛みに悶える暇もなしに、地面に叩き付けられる。

 全身の骨が折れる様な、体が、心が悲鳴を上げている。

 朦朧とする意識の中、空中から声がした。


 「【砂嵐】」


 刹那、周囲の砂が舞い始める。

 気が付けば、その砂は大きな竜巻を作り出していた。

 それも、その中心にもはや戦意の喪失した相手生徒を捉えたまま。


 そうして、畳みかける様に終りの言葉を放った。


 「中々味気ねえな、先輩。【爆化】!!!!」


 刹那、相手生徒を取り囲んだ砂の竜巻が、朱炎色の光を放つ。

 と、大気が震えた。

 その砂嵐で舞う砂の一粒一粒がダイナマイトほどの小爆発を起こしていたのだ。

 だが、塵も積もれば山となる。

 その小爆発が群れを成し、大爆発を引き起こしたのだ。


 こうして、第六試合が、幕を閉じたのだった。


 ──俺は昴の試合が終わると同時、少し伸びをして立ち上がる。

 次が自分の試合であるからだ。

 そのまま控室をでると擬似世界への転移陣へと向かい足を運ぶ。

 周囲の生徒達のあわただしさに労いの意を送りながら、その転移人へとたどり着く。

 指定された時間まで転移陣の前で待つことにする。


 と、突然視界が驚いたような声を発した。


 「な、なんとぉおお!!!第七試合の選手生徒であり、例年続く優勝候補である生徒会長が、現在生徒会の仕事で立て込んでいるとの連絡が入った!!これにより、新入生である三簾世冥君は無条件での第二リーグ進出だ!!」


 ……は?

 俺の心の疑問符はお構いなしに司会の言葉は続く。


 「なお、生徒会長は最後まで残った選手生徒との最後の刺客として『間に合えば』来てくださるそうだ!!!なんとありがたや!!!」


 その説明が終わると、俺に客席へ帰れとの言い渡しが届く。

 俺は、その言い渡しを聞いてため息をつくと、ゆっくりと踵を返してその場を去るのだった。

一切知られない世冥の実力と、一切分からない生徒会長の実力は何方の方が強いのか……。

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