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第7話「ごめんなさい」

今回は、少しキャラ崩壊があります!

 ──既に日は沈み、深い闇の中にパラパラと小さな光が散りばめられた、雲一つない快晴の夜。

 俺は大きな公園の街灯の下をゆっくりと歩いて寮の自室へと帰宅している途中だった。

 未だ口の中には月夜と食べた煮込みハンバーグの余韻が残っている。

 あの、程よく深みのあるデミグラスソースがたっぷりとしみ込んだハンバーグ。

 それでいて、ハンバーグの中にもスッと抜けていくサラサラの肉汁が閉じ込められていて、いきなりすぎて火傷しそうになるのもまたいい。

 実際、月夜はしっかりと火傷していたしな。


 そんな月夜は買い物をしていくと言って途中で別れてしまって今はボッチな訳だが。


 俺は道の隅に大きな間隔をあけて置いてあるベンチに腰を掛ける。

 もう日は沈んだと言うのに少し蒸しているような、絡みつく熱の残る季節。

 夜でも鳴りやまない超音波、夏が来たのだろうか。


 俺はゆっくりとため息を吐き出し、先程コンビニで買った炭酸飲料を口に含む。

 喉を刺激してくる強炭酸。

 とても気持ちがいい。

 一度喉が焼き切れそうだと勘違いしてしまいそうなほど強力な炭酸飲料を飲んでみたいものだ。

 そんなもの、生まれる訳ないだろうが。


 俺がそんなどうでもいい事を考えていると、一切を隠そうとしない殺気を感じ取る。

 その殺気は、今日に至るまで、散々と感じた事のある、異質な気配。

 つまり、生物が発する物では無い、無機質な殺気。

 その正体は、そう、スキル──


「《魂喰(こんじき)》、勝負に負けるつもりはないが、いったい何をしに来たんだ?」


 俺はゆっくりと立ち上がって殺気のする方を見る。

 其処には案の定、ヘルパーの少女が申し訳なさそうに立っていた。

 それと同時、こんな言葉を投げかけてくる。


「ごめんなさい。」


 どうしたのだろうか?

 俺が首を傾げると、次の瞬間に俯きながらこちらへと歩いて来る。

 何処か様子がおかしい。

 少し警戒を強めていつでも動けるように構えをとる。


 刹那、ヘルパー少女の顔が持ち上げられる。

 その瞳は鮮血の様に紅く、これでもかと言う程の魔力をその瞳に集め、どんな些細な動きをも見落とす事は無い動体視力を手に入れている。

 なるほど、俗に言う《狂戦化(バーサーク)》か。

 あっているかは分からないが、特徴が完全に一致している。

 まあ、とりあえず、何を勝負としてみているかは分からないが、こっちが指定すりゃそいつに乗っかるだろ。


「じゃあ、勝負だ」


 俺の言葉と同時、ヘルパー少女がピタリと動きを止める。

 たっぷりと溜めてから、俺は声を発する。


「どっちの速度の方が速いか、用意!」


 刹那、獣のように四肢を地面につけ、姿勢を低くするヘルパー少女。

 それを見て、俺は次の言葉を発する。


「ドン!!」


 その声と同時、俺の横を過ぎ去る少女。

 だが、俺の横を通り過ぎるその瞬間、既に俺は少女を追い越していた。

 それも、追いつく事が無いだろう距離を付けて。


 そして、俺は近くの木で止まると公園一帯に響き渡る程の大きな声で叫んだ。


「ゴール!!! 俺の勝ち!!!!」


 その瞬間、少女の瞳が元の色に戻り、一気に体の力が抜け落ち、その場に転がる。

 それと同時、無機質な声が脳内に響いた。


『《魂喰こんじき》との勝負に勝利しました。《魂喰こんじき》から《魔力》と《寿命》が献上されます。』


 その声と同時に俺の体に魔力と寿命が流れ込んでくる。

 同じくして、少女の体から魔力と寿命が抜けていく。

 その数舜後、少女が大きく目を見開き、大きな悲鳴を上げる。


「いぎぃ!! ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」


 公園どころか、近くの家の窓を通り抜けて民間人にその声が聞こえる程の声量で叫ぶと、そのまま俺の方を見て未だ、「いだい゛!! いだい゛いだい゛いだい!!!!」と、血の涙を流しながら地面でのたうち回っている。

 すぐさま駆け寄り、治癒の魔法をかける。

 そうすると、少し痛みが和らいだのかゆっくりと大人しくなって行き、ぱたりと動きを止め、動かなくなる。

 スウスウと息が聞こえる事から、死んではいないようだが、一応俺の寮室に運んでおいた方が良さそうだ。

 流石に、これを学園の医務室に持って行くのはダメだろう。

 俺はため息をつくと、ヘルパーの少女を持ち上げ、自分の寮室へと向かったのだった。



どれ程の痛みなのでしょうか……。

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