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第6話「少し、苦しい」

すみません少し更新が滞っていました!

これからはもう少し頻度を上げて投稿できればと思いますので、楽しんでいただけると幸いです!

 ──「半解放(リベル)


 茂る森林にそんな一言が響いた。

 破滅の魔力を纏った言霊は木々を揺らし、周囲の緑を枯らしていく。


 この声の主は月夜だ。


 今日になってやっと少し発展した修行へと進めたのだ。

 その内容は今の言葉から分かるかもしれないが、【破滅の力】を解放し操ると言ったものだ。

 【破滅の力】は【破滅魔法】を使える物ならば誰もが所有する固有魔力の一つだ。

 俺も持ってはいるが、あまり使う事は無い。

 なくても勝てるし。


 【破滅の力】は月夜の声に応じてバチバチと音を発しながら何処からともなく溢れ出してくる。

 それは粘り気のある黒雷の様な姿をしており、触れて見たくなる気持ちも分かってしまう程好奇心を掻き立てる外見だ。

 が、触れれば跡形もなく滅ぼされてしまう。


 だが、そんな【破滅の力】は粘り気のあるその実態とは裏腹に、黒雷の如く弾けながら、茨の様に月夜に絡みついている。

 その力の保有者という事もあるのか、【破滅の力】が引き起こす《崩壊作用》は今のところない。

 が、解放するたびにその顔を歪ませるので、今もなお痛みを伴っているのは変えようのない事実である。


 ただ、そんな修行を始めて数時間、少しずつだが、その魔力を操る事が出来る様になりつつある。

 成長が早くて助かるな。

 とは言え、完全に操る事はまだ難しいようで、何度も俺が強制的に魔力を遮断している。


 「……今日はここら辺にしておくか。」


 茜色に染まり始めた空を見て月夜に声をかける。

 俺の声を耳に入れると、慎重に力の放出を絞っていき、ゆっくりと【破滅の力】をその身に収める。


 「……いつもより早い気がする。」

 「まあ、結構体に負担がかかる事を始めたわけだからな、初日から飛ばし過ぎても体が駄目になって終わりだし、いったんこれ位で止めておいた方がいい。」

 「そういう事、理解。」


 そう言うと月夜は横に置いてあった鞄を持ち、俺の元へと駆けよってくる。

 それを見て俺もゆっくりと歩きだす。

 帰路に着けば、いつも通りにゆっくりとその道を歩き始める。


 行く先には枯れ果てた木々が続いている。


 声が届いている場所は全て同じように枯れ果てている。

 それほど強力な力を彼女はその身に宿しているのだ。


 俺が顔を覗くと一瞬遅れてこちらに視線を向ける月夜。

 その表情はどこか沈んでいるようだった。

 そんな月夜と目が合い、少しの間、静寂が訪れる。


 あ、やべぇ、超気まずい。


 俺が冷や汗を流し始めた所で、月夜が口を開く。


 「……世冥は、【破滅の力】を持っているの?」


 いきなりの質問に一瞬固まってしまうが、直ぐにその硬直を解いて答えを返す。


 「持ってるぞ。」


 俺の言葉を聞いて、少し考える素振りを見せる。

 どうしたのだろうかと月夜を見ていると、不意にこちらを向き、新たな質問を投げかけて来る。


 「どう思う?」


 その質問の意味が良く解らず、俺はゆっくりと首を傾げる。

 そうすると補足の様に質問の内容が変えられる。


 「その、どんな感じがする?」

 「……この力を持っていてって事か?」

 「そう。」


 どんな感じか……と言われましても、特に何も感じないけど?

 なんて答えられるわけもないしな、どうしよう。

 あ、こういう時って確か、相手に同じ質問をすればいいんじゃなかったっけ?

 そうしよう。


 「……月夜はどんな感じなんだ?」

 「私は……なんというか、少し、苦しい。」


 苦しい……確かに、苦しいと言われれば納得はいく。

 なんと言ったって体の中に【破滅の力】が収まっている訳だしな。

 それに、今日初めてその存在をしっかりと確認し、その能力の一部を目の当たりにしたのだから。


 「そりゃあ、自分が感じた痛みの元凶が体の中にある訳だからな。当然と言えば当然だろう。」

 「……」

 「ただ、少しもすればなれるし、しっかり使える様になればそれもなくなるはずだ。」


 実際、俺もそうだったしな。

 まあ、もう古い記憶だからはっきりは覚えてないが。


 「とりあえず、飯でも食ってくか! 苦しいのも腹を満たせば治るかもしれないしな!」


 俺は少し落胆してしまった空気を持ちあげる様に大きな声で月夜にそんな提案をする。

 そうすれば、月夜も小さく笑みを浮かべて肯定を返してくれる。


 「行くっ。」


 その返事を聞くと、街灯が光り始めた細道を少し早足に歩き出すのだった。


何を食べたのでしょうかねぇ……(お腹すいた)。

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