第3話「使えなかった」
今回の話はこの先に繋がる複線回なので、少し短めです。
──「今の言葉の意味は分かるでしょう?」
俺の顔を見ながらフィラは問うてくる。
いや、分からない訳では無い。
うん。
「わからない訳じゃないんだが、信じがたい。」
「信じてちょうだい。」
この世界に神がいない、とは、とてもではないが信じられる事ではない。
それも、無限に存在する世界の中で唯一とか、尚更信じられるわけないだろう。
だが、腐っても女神であるフィラが言うのだ。
そして、この顔はふざけていたり、ウソをついている時の顔ではない。
信じがたくとも、信じるしかないのだ。
「まあ、信じるしかできないからな。」
「そう、ありがとう。」
「で、それがお前の今の能力に関係しているんだろ?」
「うん。」
そう首だけで頷くと、一息おいて話し始める。
「この世界は元々、魔力も魔物も、魔王も存在しない世界でしょ? そのおかげか、この世界は平和そのもの。」
「そうだな。」
「ただ、その所為で、この世界には神も存在しないし、存在しても能力は一切使えないでしょうね。」
「……何でだ? 確か、神は魔力で能力を使ってるわけじゃなかったよな?」
「うん、そうだね。」
神は魔力ではなく、《力聖》と呼ばれるものでその能力を使っている。
《力聖》は他にも、《神聖力》や、《神力》、《神通力》と呼ばれるものだ。
とはいえ、俺自身が神な訳では無いために、これ以上の事はあまり教えられていない。
そしてその部分にこの話の軸となる内容があるのだろう。
「ただ、《力聖》も魔力が無いと生まれてこないの。だから、その所為で神はこの世界で能力を使えないの。」
そう言うと「いや、」と続ける。
「使えなかった、と言うべきかもしれない。」
そう言うと、その赤い瞳をキラリと怪しく光らせ、口角を上げてほほ笑む。
俺は神の全容を知らないため、その微笑みの真意は分からないが、何か言いたげに微笑む所から未だ話が終わっていない事を悟る。
「まだ話は終わってないんだろ?」
「勿論。」
そう言いながら始まった話に耳を傾ける。
「200年前だったかな? この世界にも魔力が生まれて、神がその能力を少しだけだけど扱う事が出来るようになったんだ。」
「ふむ……。」
何故この世界に魔力が生まれたのだろうか?
魔力は自然発生する物だ。
だが、元から存在しない限り、いきなり発生する物では無い。
魔力の主根源は《世界源核根》、もしくは《魔力根源核》と呼ばれるものだ。
だが、この世界にそんなものは存在しなかったはずだ。
「この世界に《世界源核根》なんてあったか?」
「無かったね。でも、いつだったか、この世界にも生まれたんだよ。」
……この話はいまする事じゃない。
そんな気がする。
だから、この話はここまでにしよう。
この先、嫌でも聞かなければいけない日がきっと来るだろうからな。
「はあ、とりあえず、今日は寝ようぜ。」
「そうだね。」
フィラの返事を聞いて、近くに置いてあった瓶に魔法をかけて《魔法瓶》を作る。
そして、俺はフィラの首を《魔法瓶》の中に閉じ込め、布団に入ると目を瞑るのだった。
おやすみなさい!!




