第2話「この世界は」
今回は少し歯切れの悪い所で切れます。
──俺はカーテンを閉めて目の前にいる少女、【愛の女神:ジプソフィラ】に目を向ける。
するとジプソフィラ、通称フィラはにっこりと笑顔を浮かべて白銀の髪を揺らす。
俺はそれを見て、背筋に何か冷たい物が走ったのを感じた。
彼女は俺が間違って召喚してしまった高位女神である、その笑顔も女神の物と思えば頷けてしまう程に美しい。
だが、実態はドM変態女神である。
女神と言う、肩書、その存在を悪用し圧倒的強者達に自分を殺させるなどと言う残虐行為。
更には、歪んだ愛を持ち、いつも料理は肉料理。
その肉と言うのが……言わないでおこう。
まあとにかく、要するに此奴は異常だ。
だが、一番異常なのは此奴がどうして此処に居るのかという点だ。
「……どうやってこっちの世界に来たんだよ。」
俺はフィラを睨みつけて問いかける。
そんな視線に紅潮しながら震える。
だが、深呼吸をすると、落ち着いた声色で一言。
「わからないの。」
その言葉を聞いた瞬間、俺は思わず咆えてしまう。
「んな訳ねぇだろ!!!」
「はんっ!!!♡」
つまり、此奴は訳も分からずこの世界に来たという訳だ。
何言ってんだ?
「お前さっき、『やっと』って言ってたよな!!」
そう、『やっと』とは、長い時間をかけて成し遂げた時にだけ吐き出される言葉だ。
だと言うのに、此奴はいきなり俺がいる世界にやってきて、偶然見つけて、『やっと』なんて言ったのか?
ぶっ飛ばすぞ!!!
「そ、そうだけど、ホントにこの世界に来たのは偶然で……。」
「じゃあさっきの『やっと』ってどういう意味だよ?」
「元の世界で探し回っててやっと見つけたって意味だったの!!」
そう言いながら腕をブンブンと上下に振る。
その風圧で周囲の物がガタガタと揺れ始める。
おいやめろ、俺の部屋を壊そうとするな!!
「わかった!!わかったから腕を振り回すな!!」
俺は魔法で拘束すると首を切り離す。
そして体を潰す。
「これで暴れられないだろう。」
「boo……。」
唇を尖らせて不満を訴えてくるフィラだが、俺はそんな事を気にせずベッドへダイブする。
そうして、フィラに疑問をぶつける。
「そういえば、お前少し弱くなったか?」
そう言うと、明らかに不機嫌そうな顔をするフィラ。
何か気に障る事を言ってしまったのだろうか?
「弱くなったんじゃないの! この世界が神を受け入れないの!!」
首だけでそんな事を訴えてくる。
だが、どういう意味だろうか? この世界が神を受け入れないと言うのは。
「そのままの意味。この世界は私たち神を受け入れないの。」
「いや、そのままの意味って言われてもな、良く解らんぞ?」
俺は説明の少ないその言葉に首を傾げる。
「……原因として挙げられるのは、一つ……かな。」
「原因?」
俺の言葉に頷くと、間をおいて声を吐き出す。
「……この世界は、無限に存在する世界の中で唯一、神が存在しない世界なの。」
そんな一言が、この空間内にいやに響いた。
そして、また一つ、新たな事実がその口から離される事になるのだった。
カクヨム様の方で7話まで投稿させていただきました!!
カクヨム様の方では、少し加筆修正などを加えているので、よかったら見てやってください!!




