第27話 時空
後二話で、一章完結……です!
──暴風が吹き荒れた。
それは、俺の振るった槍の穂先が大地を抉った事で生じたものだ。
何故地面を抉る結果になったのか?
答えは簡単、俺の攻撃が避けられたのだ。
「ほぉ、中々の威力だ。だが、そんな物では私には届きはしない。」
そんな声が聞こえたのは俺の背後だ。
その方をゆっくりと振り向けば、其処には爺さんが余裕の笑みで立っていた。
「──まさか、校長が犯人だったなんて……」
そんな事を呟いたのは、教師陣だった。
俺はその声で爺さんの名前を思い出す。
「ああ、思い出した。海馬だ。」
「ちがう! 私の名前は改田だ!」
俺の声に過剰反応する改田。
きっと、間違えられまくっているのだろう。
前世の俺と同様に。
まあそんな事はどうでもいいのだが。
「【威鋭】」
俺は槍を勢い良く突き出す。
刹那、魔力で出来た鋭弾が真空をつくりながら改田に接近する。
だが、気が付けばその姿は掻き消え、次に姿を現したのは俺の目の前だ。
「だから言っているだろう? そんな物が届く訳が無いと。」
その言葉と同時、俺は槍を剣に変形させ、その首を狙って剣を振り下ろす。
流石に、いきなり振り下ろされた事には驚いたようで、改田の反応が少し遅れる。
もう少しでその首筋に刃が当たる、そんな節、再び改田の姿が搔き消え、俺の剣は大地を切り裂いた。
数10メートル先に亀裂を走らせ、亀裂の端が見えなくなってから俺は後ろを向いた。
「いやはや、当たっていたらとんでもない事になっていたよ。パワフルだねぇ。」
驚いたような顔でそう言ってくる改田。
だが、本心は特になんとも思っていないだろう。
取り繕うのがうまい物だ。
「そんな事言っているが、そっちからは来ないのか?」
「ハハハハハハッ! 面白い事を言うねぇ。今の状況で私を相手に出来ると思っているのかね?」
そう言うと、魔力を練り上げ、無数の魔法陣を展開する。
それは同一の魔法の様だが、即座に数えきるには時間がかかってしまう程の労だ。
『千を扱えぬ者は一を極めろ、さすれば万の力と同等である。』そんな言葉をどっかで聞いた事がある。
前世だったか、それとも、師匠からだったか……それは定かではないが、そんな言葉にのっとった戦法は、この場に身を守る物はないためとても効果的だろう。
「ハハハハハハハハハッ!!!」
「これを防げばいいんだろ? えらく簡単じゃないか。」
俺はそう言うと、全ての魔法に対し、妨害の魔法を打ち込んだ。
そうすると、発動寸前だった魔法は構成が崩れ、一気に暴発する。
元々の魔法が炎系統であったためか、予想よりも、はるかに大きな爆発だ。
「で、次は何かあるか?」
俺はそう言いながら、改田に一歩近付く。
後ろの仲間を守る様に、一つの魔法を展開しながら。
「【闇極光】」
そうすると、暗紫色のカーテンの様な物が俺と改田を囲んだ。
これは、周囲の空間と、此方の空間の一切を断絶する魔法。
いわば、フィールド魔法だ。
「これで、お前がどんな手段に出ようと、他に危害が出る事は無い。さてと、とことん殺り合おうぜ……!」
刹那、改田の背後から一気に白の背景が迫ってくる。
気が付けば、俺と改田はまっさらな空間に飲み込まれ、只々何もない虚無で向かい合って立っていた。
「なら……本気で行かせてもらおうか。」
そんな改田の声が反響すると同時、壁、床、天井から四角い箱の様な物が現れ、一斉に俺を襲ってきたのだった。
さて、改田がどんなかませを見せてくれるのか……。




