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第23話 魔族

もう少しで一章完結です……。

 ──虚空に響いた声が搔き消えてから数時間、怪我人等の治療は殆どが完了し、後は教員数名を残して生徒たちは避難するだけになった。

 教員は上の学年の応援が駆けつけてくれるのを待つだけだろう。

 とはいえ、あの声は魔法によって声が返られており、素の声ではないことは明らかだった。

 その事にかは分からないが、周りの生徒たちも動揺しているようだ。


 「おい世冥! 無事だったか!」


 背後から聞きなれた声が響く。

 その方を見ると、やはりと言うべきか、昴が此方へと走ってきていた。

 俺の目の前まで来ると停止し、口を開く。


 「いやー、心配はしてなかったけどよ、ビビったぜ! あれって何だったんだ?」

 「あれか? あれは【爆発的魔力汚染】っていう【魔力災害】だ。」

 「……あれが? 【爆発的魔力汚染】は伝説上の【魔力災害】ではなかったか?」


 俺の言葉に小枝が反応する。

 昴はイマイチ解っていないが、小枝は聞いた事があるらしいな。

 とはいえ、俺も師匠以外にそれをやってのけた人物を知らない訳だが……。

 だが、言ってしまうと中級の魔法さえ使えれば、【爆発的魔力汚染】は簡単に引き起こせてしまう。

 何故か?

 そんな事決まっている。


 【爆発的魔力汚染】は、簡単な術式で起こせるからだ。


 「あれをやったのは、少なくともBクラス以上だ。」

 「何故分かる?」

 「……感覚だ。」


 説明をすると長くなるので割愛だ。

 だが、うちのクラスにそんな事をする人間はいない。

 となれば、残されるのはBクラスの誰か。

 ……もしくは上の学年の誰かという事になる。


 「感覚……確かに、キミの感覚が当たるかどうかは兎も角として、こんな事件を引き起こせるのはそれ位な物だろう。」


 ふむ、やはり小枝もデキル奴ではあるらしいな。

 魔法の実力や、知識量等はまだまだだが、今の言葉からその意図を読み取るのも容易な事ではないだろう。

 とはいえ、解ったからと言ってこの事件が解決する訳では無いのだが。


 「兎も角だ、まずは帰るのが最優先だろう。」

 「……それもそうだな。」


 俺の言葉に頷いた小枝は、バスの方に体を向けて声をかけてくる。


 「じゃあ、早くバスに乗ってしまおう。」


 俺は小枝の言葉に頷き、歩き出す。

 そこで突然、袖を掴まれる。

 俺は握られる袖の方を見る。

 するとそこには月夜が肩で息をしながら俺の袖を掴んでいる姿があった。

 何故そこまで消耗しているのだろうか?


 「……どうした?」


 俺は月夜に声をかける。

 すると月夜は信じられない事を口にした。


 「ま、魔族が、大群でこっちに……!!」

 「!!」


 俺はそれを聞いた瞬間に一つの魔法を発動した。


 【千里眼】。


 どんなに距離が開いて居ようと、見たいと願ったその全てが見れる魔法だ。

 そんな魔法で覗いたのは、月夜が言った魔族の大群だ。


 「……これは……!」


 そこには数10万単位の魔族の大群がいた。

 竜人型、魔人型の2種類の魔族がワラワラと群れを成して此方へと進んできているのだ。

 俺はそれを見た瞬間に教師陣の元へと急ぐ。


 ──「魔族が!!」


 俺は担任を見つけると同時にそう叫ぶ。

 実際、俺一人であの程度の数は殲滅できるだろう。

 だが、無断で行っては後が面倒だからな、誰でもいいから報告をするべきだろう。

 まあ、もう一つ理由はあるのだが……。


 「ああ、解っている。」


 おや? 担任の様子が?

 何時ものあのだらしない感じが微塵も感じられない。


 「直ぐに対処したいが、人員がな……。」

 「……その人員、俺じゃ駄目ですか?」

 「……お前が?」


 俺の言葉に怪訝そうな顔をする担任。

 だが至って俺はまじめだ。

 ……と言う風に顔を力ませる。


 「……わかった、信じよう。」


 そういうと、担任は背後の【異能騎士(スキル・ナイト)】達に声をかける。

 【異能騎士(スキル・ナイト)】とは、初日に気さくに声をかけてくれた筋肉たちの事だ。

 未来チックな鎧を身に着けてこちらを見る。


 「……本当に魔族を倒せるんだな? それも、あんな数。」

 「はい。」


 そんな筋肉の一人がしてきた質問に、淡々と答える。

 質問をしてきた筋肉は俺の答えを聞いて、少しの間俺を見つめると、解ったと言う様に目を瞑って頷く。

 そして、次の瞬間、背後に声を張り上げて叫んだ。


 「それではこれより! 魔族の殲滅を行う!!」


 言い終わると同時、勇ましい雄叫びがこの場を包む。

 俺はそれを聞いて体を解す。


 「──さて、行くか。」


 俺はそう呟き、月夜の元へ向かった。

この話はエピローグへのスタートダッシュですね。

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