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第21話 報告

 ──俺は直ぐに学級代表の治癒を終わらせ、医務室へと運び込んでいた。

 まだ今日与えられた課題を終わらせていないので、早く全てを終わらせて課題に戻りたいのだ。


 医務室から出ると今度は、教師陣が待機している休憩場へと急ぐ。


 その前に整理だ。


 あの【魔族】は学園の意思で呼び出された訳ではないだろう。

 何故そんな事が言えるかと言うと、理由は簡単だ。

 魔族は人と同等の知性を誇るからだ。

 それは上位の存在になる程上がっていく。

 つまり、初期値が人間と同等であり、肉体は人間を遥かに上回る程強靭。

 何より、ランク付けのできない存在であり、危険性の高い存在だからだ。


 ただ、だとして誰が呼び出したのだろう。

 この学年にそ女事をするような、いや、できるような人間はいなかったはずだ。

 だとすると、最初に俺を召喚して見せた出雲と言う可能性もあるが、そんな事をするようなタイプではない。

 ここ2日しか接していないが、30時間も一緒に居れば、分かりたくないようなことまでわかる事もあるだろう。

 とはいえ、彼女が嘘をついているようなそぶりはなかった。

 そうなると、他にそんな事が出来そうな存在という事になるのだが、後そんな事が出来るのは、『ヘルパー』の少女位か……。

 彼女の事はよく知らないが、だからと言って犯人にするのもよくないだろう。


 ……そんな事を言っているときりがないぞ。


 「おっと、ここか。」


 俺は周辺を走り回り、『休憩場』の札が横にかけられた入り口を見つける。

 入り口前まで行くと、横開き扉のノブに手をかける。

 そして、勢いよくあけ放つ。


 その先には、のんびりと寛ぐ教師陣と、紛れて出雲が顔を緩めながら菓子をおいしそうに食べていた。


 「……あの。」

 「ん? おお、どうしたんだ?」


 俺の呆れ果てた声で吐き捨てられた声に反応したのは、教師一目つきが悪いと評判の於本(おいもと)先生だった。


 「あー、えっと、さっき森の奥の方で魔族に襲われてる生徒がいたんで、報告に──」

 「「何だって!!?」」


 俺がその言葉を言い切る前に周りでのんびりと寛いでいた教師陣、更には出雲までもが身を寄せて俺の言葉に食いついて来る。

 ふむ、やはり意図的に配備されていた訳では無かったみたいだな。


 「……その話、詳しく聞かせてもらってもいいか?」


 於本先生がそう静かに口を開いた。

 俺は無言のまま頷き、案内された応接間のような場所で話を始める。


 とりあえず伝える事は決まっている。


 一つは場所。

 一つは容姿。

 一つは実力。

 一つは吐かせた情報。


 俺は決まっていた内容を淡々と話していく。

 それを聞いて教師陣はメモを取り、周辺の見回りへの伝達情報を書き込んでいく。

 俺の話をしっかりと聞いてくれている証拠だろう。


 とはいえ、俺が持っているのは学園の意図で呼び出されたわけではない魔族という情報だけだ。

 これでいいのだろうか。


 そんな事を思っていれば、数分ほど黙ったままだった教師陣が集まり何やらひそひそと秘談を始める。

 この後の方針だろう。

 俺にもかかわってくる話だ──


 ──が、俺は立ち上がりそんな教師陣に声をかける。


 「すみません、パーティーの仲間が待っているので、もう行っても?」

 

 そう、月夜がずっと外で森の中をぐるぐると回っているのだ。

 さすがに待っていられない。

 まだ魔族がいた場合は対処しきれない可能性すらあるからだ。


 「あ、ああ、すまない。報告ご苦労だった。この後直ぐに放送がかかると思うが、それまでは課題を続けてくれ。」

 「わかりました。」


 俺の言葉に少し焦ったように返す於本先生。

 俺はその言葉に頷くとゆっくりと外に出る。


 そして、足に力を籠め、月夜の魔力反応のする方へと一気に蹴り進んだ。

月夜は無事でしょうかねぇ。

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