第16話 宿泊
──バス(?)に揺られる事、6時間。
車内のクラスメイト達は、ぐっすりと睡眠をとり、元気いっぱいである。
目を離せば周囲がクレータだらけになっていそうだ。
「そろそろつくんじゃないのか?」
「まあ、もうそろそろつきますかね。声掛けは本来担任の教師がやる事のはずなんですが……しょうがなく、私が引き受けましょう。」
そう言うと、その手にメガホンを持って立ち上がる。
『えー、聞こえますか―? もう間もなく目的地へ到着しますので、荷物をまとめておいてくださーい。』
声高らかそう言うと、メガホンを空間収納魔法に仕舞い込む。
と言うか、拡声魔法の方が手っ取り早いのでは?
まあ、そんな野暮ったい事は言わないが──
「あ、拡声魔法で声をかければよかった。」
──うん、そうだよね。
言わずとも気付いた事に、俺は同意をするが、それをもっと早くしてほしかったな。
まあいい、とりあえず下車の準備だ。
とは言っても大体の荷物は【空間収納】に入ってるから持つもん無いんだけどね!
見てくれだけのリュックだけだ。
多分、此処に居る全員がそうだろう。
そういえば、ヘルパーの少女はどこに行ったのだろうか?
同じバス(?)に乗っていた筈だが。
車内は円形に座る形の、民間バスのような作りだが、どこにも座っているようには見えない。
「そうそう、私は貴方の部屋に居座らせてもらうけどいいよね?」
「……何故?」
「……私用の部屋を取り忘れた。」
へー。
……って、民間なの!?
普通こういう時様に作られてるものじゃない??
「まあ、そう言う事だから!」
出雲がそう言うと同時、バス(?)が停車し、生徒たちが下りていく。
それに紛れて出雲が俺の隣から離れていく。
まあいいけどさ。
俺は全員が出終わってから足を進めると、共に進みだす気配を感じた。
その方を見てみると先ほどまで姿を見なかった、ヘルパー少女だった。
俺は一瞬足を止める。
すると、彼女も足を止めた。
「どうぞ、私は貴方方より先には降りられません。」
「……わかりました。」
俺は彼女の瞳を見て、一言そう返した。
そうして降りてみるとびっくり、とても民間宿泊施設には見えない。
とても堅牢な建物だ。
それに、豪奢とは言えない質素な物でもあった。
『えー、これから、各自で行動していただきますが、周囲には魔物除けの結界が貼ってあるため、魔物などに襲われる事はありません。ただし、結界から外に出てしまえば責任はとれませんのでくれぐれも安易に外へは出ないように―。』
出雲はそう言うと、一つ息を吸い込み放った。
『では、解散!!』
刹那、生徒たちは勢いよく宿屋の中へと走りこんでいった。
事前に部屋割りはされているため、一目散に駆け込んでいくのは当然だろう。
俺はその後を追って宿屋に入っていく。
──中には、少し未来的な騎士の鎧の様な物を着た男性が数多くいた。
ふむ。
むさくるしいな。
自分の部屋番号を探そう。
多数の筋肉を超えて自分に割り振られた部屋を探しだし、扉を開けると、其処には外観からは想像もつかない程の広さが広がっていた。
多分、空間拡張魔法か何かだろう。
「ほほう、風呂までついてるとは、快適快適。」
俺はそう言うと、空間収納にリュックを放り込む。
そうして──
「ベッドにダーイブ!!」
ボフンッ!
埃を立てながら俺は布団にうずまった。
あー……気持ちぃー。
意識は遠のき──
「って、さっそく寝てないでくださいよ!!」
──後頭部に鈍い衝撃が。
「何だよ……? ああ、出雲か。」
「先輩を呼び捨てとは、戦りますか!」
「いんや、寝る。」
「寝るなぁ!!」
俺の行動を制限するとは……まったく、何様なんだか。
……先輩様か。
ハッハッハッ。笑える。
「んじゃ、風呂でも入るか。」
「もはやですか?」
「この後何かある訳でも無いし、普通に入りたい。」
「ふむ、そうですか。ではごゆるりと。」
「……出雲は入らないのか?」
「……セクハラですか?」
いやなんでだよ!!
俺はショタ性癖はないわい!!
「ま、まあ? どおしてもと言うなら……いいですけど?」
「?」
まあ、とりあえず、入るか。
こういうのはほっとくに限る。
「先はいってるぞー」
──細いお湯が肌に当たる感覚と言うのは何故ここまで心地がいいのだろうか?
溜められたお湯につかるのも一興。
疲れが取れていくぅー。
それに、空間拡張魔法のお陰で浴場が広い!!
最高だあ!!
「ホエー。生き返る。」
そんな感想を口から出した瞬間だった。
ガララッと扉を開けて入ってきたのは出雲だった。
そんな出雲は赤面させながらシャワーを浴び始めたが……俺は気付いてしまった。
「……」
気づいた瞬間、即座に身を縮めてそっぽを向く。
そう。
ハ、ハハハハ──
此奴、女だわ。
「……ええと、湯舟、一緒に浸かっても?」
意図せずしてセクハラを……!?
出雲はショタではなく、ロリでしたね。




