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第14話 遠征

 ──まだ日が昇り始めて間もなく、少し薄暗い朝。

 重い瞼を必死に持ち上げて、動きたくないと駄々をこねる体を無理矢理に動かし、少し騒がしい学園の運動場に身を運ぶ。

 見る限り、俺のクラスの連中は全員集まっているようだ。


 「おう! 世冥! 何だ、眠そうだな!」


 いきなり俺の背中を叩き、背後から現れた昴。

 寝起きでは耳が痛くなる様な声でそんな事を言ってくるが、なぜお前はそんなに元気なんだ?


 「まったく、だらしないね君は。常日頃からこのような時間に起きていないから、こういったイベント等で影響が出るのだぞ?」


 鼻を鳴らしながらそんな事を言ってくるのは、昴の更に後ろから現れた小枝だ。

 何やら、彼はいつもこんな時間に起きているらしい。

 にしてはお前も結構眠そうだが?


 「お前も世冥の事言えねぇけどな。」

 「う、うるさいぞ……! 今日は少し夜更かしをしてしまっただけだ。」

 「へえ、今日が楽しみだったのか。」

 「なっ! ち、違うぞ! 決して楽しみだった訳ではない!」


 冷や汗をダラダラと垂れ流して、動揺を露にしながら反論をしてくる小枝。

 いや、分かりやす過ぎるだろ。


 『──あーあー、聞こえますかー』


 俺達がそんないつも通りの会話をしていると、校舎側から聞き覚えのある幼い声が聞こえた。

 俺はその方に顔を向け、その声の主を確信する。

 すると、其処には壇上があり、その上に俺をこの世界に召喚した少年が立っていた。


 『えーどうも、皆さん私の顔は覚えていますね? そうです。貴方たちがこの世界に帰還したときにお会いしました、3-Sクラス特待生。出雲(いずも) 夏織(かおり)と申します。』


 ほう、女の子っぽい名前だな。

 見た目的には、こげ茶のおかっぱで中性的な顔を隠すような大きな黒縁眼鏡をかけた小さな少年だ。

 ……あ、よく見たらサイドが巻かれてる。

 癖毛だろうか?

 それに、制服……に短パン、白衣と言う異端的な恰好。

 変な奴だな。(確信)


 『これから、4泊5日、よろしくお願いします。何か分からない事があれば私に聞いてください。もしくは彼女に。』


 そう言って指したのは壇の横に立っていた『ヘルパー』の少女だった。

 ふむ、彼女はこの学園の“生徒”ではないのだろうか?


 視線を受けた少女はコクリと此方に頭を下げて、目を瞑った。


 眠いのだろうか?


 『それでは、もう直ぐでバスが到着しますので、少々お待ちを。』


 それと同時に、各クラスの担任達が次々に声を上げはじめる。

 そんな中うちのクラスの担任はと言うと──


 「グゥ……んぁ、あれ、終わってる? ふあ~! よし、そんじゃー委員長、進めといて―。」


 こんな始末である。

 まったく、本当にこれが教師なのだろうか?

 とはいえ、実力はこの学校一という噂だ。


 「ちょっと、貴方それでも教師ですか? 自分のクラスくらい自分で動かしてください。」


 そして、そんな担任の性格を知っていてか、出雲が俺達のクラスに近付いて来て言った。

 彼の登場にクラスの生徒がざわつくが、俺と昴と小枝はいつもと変わらず特に反応はしなかった。


 いや、小枝は睨むように出雲を見ていたが。


 「まあ、とりあえず、このクラスのバスはもう着きますから、荷物は忘れずに。それと私も同行しますので。」


 それにしても、バスかー久々だな。

 と言うか、修学旅行とかで乗るバスなのか?

 結構危険じゃね?


 ──と、そう思っていたのも数分の事でした。


 ブロロロロロと重たい音を鳴らしながらこちらに向かってきたのは──


 (高機動車(バス)……!)


 「ロードローラーだぁー!!! ……ではなく、バスが到着しました。早速乗り込みましょう。」


 もはや突っ込み所が多すぎて突っ込む余地がない。

 うん、考えたら負けだな。

 さて、乗るか。


 こうして、学園生活が始まって初めての遠征が始まった。

いや、「こうして、学園生活が始まって初めての遠征が始まった。」が自分ながらに見慣れなさ過ぎて眉間に皺を寄せましたね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 口に出したら『はじまって』がめっちゃ続いて面白い 連続で言ったらゲシュタルト崩壊しそう そして夏織さんの格好、ショートパンツに白衣で少年ビジュは良いな…
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