第13話 因縁
少し香りますが、この回は特にバトルなどの激しい話ではないです。
──「あれぇ? お前、欠陥者の月夜じゃね?」
日も落ち始め、俺と月夜が帰路について歩き始め少しの所で、不意にそんな声が聞こえてきた。
欠陥者?
俺はその声がした方に顔を向ける。
そこには、ツンツンとした栗色の髪に、同系色の眼をしたチャラ顔の男子生徒が立っていた。
「え、なに、キミ彼氏君? キハハ! そいつはやめといた方がいいぜ?」
俺と目が合うと同時、俺に向かってそんな事を言ってくる男子生徒。
いや、お前の方が「え、なに」何だが?
と言うか、勝手に彼氏にしないでもらいたい。
その所為であらぬ容疑でもかけられたらどうするんだ。
まあ、そんな事は置いといてだ。
「どういう意味だ?」
俺は男子生徒の言葉にそんな問いを投げかける。
するとニヤついたままの顔で近付いて来て耳元で堂々と言い放つ。
「そいつはなあ、魔法がてんで駄目なんだよ。俺達と一緒に帰ってきたからBクラスにいるけどな、本来の実力はF以下だ。」
そう言う事か。
と言うか、耳元でそんな大きな声を出さないで欲しい。
耳障りだ。
でも、魔力の質自体はかなり洗練されていたからかなり魔法は使っていた方だと思ったんだが……。
俺は隣にいる月夜に視線を送る。
そんな視線に気づかず、顔に影を落としている月夜が目に入り、溜息をつく。
「そうか、そうか──」
俺の声に月夜は肩を震わせ、男子生徒更に口角を醜く上げる。
何を期待しているのかは知らないが、俺が言う言葉は一つだけだ。
「──どうでもいいな。」
俺は元々そんな事は解っている。
だからこそ、魔力の扱いなどを今教えてやっているのだ。
だと言うのに、そんな事を今更教えられて、「へえ、そうですか、じゃあ関わるの止めますわぁ」なんて言う訳があるか。
俺は何を言う事なく、ただ自らの眼に魔力を込める。
すると、その身を硬直させて冷や汗を垂らし始める男子生徒。
「俺は別に、此奴が魔法を使えようが使えなかろうが関係なくパーティーを組む。どんな人間に対しても戦闘面に期待はしていない。自分を信じるしかないからな。ただ、生きていくのに必要な力を与えるだけだ。」
実際、戦闘面では自分を信用するしかない。
どうせ他人は他人、自分の思った通りには動かないのだから。
だが、信用していない訳ではない。
自分の見えない所をカバーしてくれるのだから。
ただ、今は月夜をその台まで登らせるためにパーティーを組んでるだけだ。
そして、今後もパーティーは組み続ける。
仲間という物は何においても必要だからだ。
「お前に何か言われる筋合いはねぇ。」
俺はそれだけ言うと、踵を返して足を進める。
月夜に首でこっちにこいと合図を出しながら。
そうして、今日という日は幕を閉じた。
──「明日から、4泊5日の遠征授業がある。しっかり準備をしとけ。」
それから1週間後、教室でそんな事を言ったのは、我がクラスの担任、大槌 澄香 だった。
学園を離れて授業を……何かが起こる予感。




