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第12話 次段

すみません……間に合わず、12話投稿が遅れてしまいました……。

 ──月夜の魔力制御上達特訓開始から二ヶ月が経った。

 その間も、学園での生活は続いたが、特に大きな事が起こったわけでもなく、昴や小枝とわちゃわちゃしていただけだ。

 放課後はいつも同じ場所で月夜の特訓をしていた。

 ここが地球であると忘れてしまう程の魔物の量に少し驚いたが、順調に上達している月夜を見ていて少し思った事がある。

 最初よりもやる気がすごいのだ。

 俺は特にしっかりやれ、とも言っていないのにいつの間にやら特訓に真剣に向き合っているようだった。


 「よし、それじゃあ、ここまでだな。」


 水の球を自在に操る月夜に声をかける。

 驚いたように目を開いてこちらを見てくる月夜。

 だが、水の球はしっかりと意図的にコップに戻している。


 「……どこか、駄目な点があった?」

 「ん? あ、いや、そう言う事じゃ無くて……逆に、もうそれをやる必要はないってことだ。」

 「?」


 小首をかしげる月夜。

 俺はそんな月夜の前に、透き通った青色の液体の入った樽を置く。


 「これは……?」


 それを見て俺に問いかけてくる月夜。

 俺はしっかりとその問いに答える。


 「これは、魔力の量をコントロールするための練習に使う水だ。」

 「魔力の量?」


 この液体の名前は【沈魔水】という。

 この液体は【魔鉱水】とは裏腹に、魔力伝導率が悪く、そこら辺に沸く程の希少価値の低い物だ。

 だが、魔力に関する修行や特訓などに対する需要は大いにある。


 この【沈魔水】は、魔力伝導率が低い代わりに、それを【魔鉱水】の様に操ろうとすれば、その人物が出す魔力に乗じた量しか操る事が出来ない。

 つまるところ、これで、魔力放出の特訓が出来るという事だ。


 「質の悪い魔力が地面の下に溜まり続けた挙句、魔鉱石にも魔石にも成れなかった結果、液体になったものだな。とはいえ、有用性はあるんだが……今は置いておこう。よし、じゃあまずはいつもみたいに魔力を流して操ってみろ。」


 俺の言葉に素直に従い、魔力を流し込み始める。

 すると、昔のパソコンくらいの大きさの【沈魔水】の塊が宙に浮いて来る。


 「いつも通りとは言ったが、いつもみたいに魔力の巡りがいい訳じゃないからな? 感覚でいつもの量まで落とし込めるようになれ。」


 そう、まだあの水が無ければ魔力の量を見誤ってしまう所がある。

 それは魔力量が月夜の体の許容量を遥かに超えているからだ。

 どういうことか?

 分かりやすく言うと、伸びない水風船の中に勢い良く水を入れた様な感じだ。

 水を入れた瞬間に割れて終わりだ。

 だが、その風船をしっかり伸びる様にすれば、かなりの量が入る。


 つまり、こうして量の調節が出来る様になれば、体もその魔力を受け止める事が出来るようになるはず、と言うことだ。

 だが、未だしっかりと量を調節できるようになるまでには時間がかかりそうだ。

 どれくらいかかるかは、まだ分からないが。


 「……こ、こんな感じ……?」

 「ああ、それをキープしろ。そして常にそれが出せる様にしとけ。」


 許容範囲が大きい【沈魔水】で自ら魔力を制限するのに少し苦労している様だ。

 少し不格好なポーズで今の状態をキープし続ける月夜。

 この調子だと、もう少し時間がかかりそうだな。


 ……はあ、とりあえずは、持ち越して明日もやるか。


 今日はもうそろそろ帰るとしよう。


 「……もうそろそろ帰るか、時間的にも区切り良いしな。」

 「……わ、わかっ……たっ……ふぅ。」


 額の汗をぬぐい、帰り支度をする月夜。

 俺はそれを見てゆっくりと歩きだす。

 準備の終わった月夜が後ろをついて来る。


 こうして、茜に染まった空の下、今日も一日を終える──そう思った時だった。


 ──「あれぇ? お前欠陥者の月夜じゃね?」


 どこからともなく、そんな声が聞こえてきたのだった。

月夜を知る存在……嫌な予感……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おっと不穏な展開…これは世冥くんが黙ってないですね、仲間に暴言吐いてるんだもんね 月夜ちゃんがトラウマ克服できるのかできないのか…見ものですね
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