7話 労働生活
次の日からカイトの労働生活が始まった。仕事内容は大砲の弾を運ぶだけ。運ぶだけなのにめっちゃきつい。めっちゃ重たい。カイトの力じゃ持ち上げるのには難しかった。リャカは力仕事はしないでテントとか張っている。(女なので)
戦争の準備といっても、核兵器とか、戦車とかは見られなかったので、この世界はまだカイトの世界ほど技術が進んでいないらしい。
「よお、新入り。大変そうだな。」
「まあ俺たちは手伝わないけど。」
細いやつと太いやつがカイトに話しかけてきた。
「おれはフトリン」
「おれはホソラン」
なんか自己紹介をし始めた」
「王様がお前のことを認めたからと言って俺らは認めてないからな」
「お前、天才なのかよ。5+7=??」
なんだ、こいつら、急に話しかけて来て、問題出して来たよ。
[はい、ブブーっ暗算遅すぎー」
「というわけでこれも運んだいてー」
フトリンとホソランとかいう野郎どもはカイトの目の前に大量の大砲の弾を置いていった。そのあと、あいつらは仕事を放棄して、将棋の天才バージョンみたいな遊びをし始めた。
あいつらこの一ヶ月後とかに始まる戦争にこの国を勝たせようという気はないのかよ。そうカイトは思った。
この国に数時間しかいないカイトでさえ戦争か起こったなら、この国に勝ってほしいと思っていた。なぜなら、王様に優しくしてもらったし、リャカも気になるからだ。
そんなこんなで、そんな生活をしてして4日が過ぎた。
フトリンとホソランは相変わらずカイトに仕事を押し付けていた。カイトはというと、友達に会いたいなーとか、お母さんのご飯を食べたいなーとか思っていた。
そんな時、事件は起きた。
「ねえ!君たちはこの国が嫌いなのかい?」
ついにカイトがフトリンとホソランにキレた。
「何を言い出すんだよ。ここは俺たちの故郷だぜ。お前の10²³倍テンサーイ王国を愛してるに決まってるよ。」
「嘘をつくな!じゃあなんで仕事をしないんだよ!こんなことただの仕事の妨害でしかないよ!」
カイトは怒った。なんでカイトがこんなにいきなり起こり出したかというと、数時間前、カイトの家でこんなことを考えたからである。(カイトの頭の中→)なんであいつら仕事の妨害ををするんだ???勝つかあるのか???負けさせようとしているのか??????
はっ!!!!!
まさか!バカバッカ軍団のスパイ!?!?バカバッカ軍団のスパイだからテンサーイ王国の戦争の準備の邪魔をしているのか!!!!!
現在
「バカバッカ軍団のスパイなんだろう!お前ら!」
「あ?なんとか言えよこら!ぶっ飛ばすぞ!粉々にしてやろうか」
カイトはフトリンとホソランを問い詰めた。すると、
「はっはっは!(爆笑)お前、バカバッカ軍団が怖いのか?」
「バカバッカ軍団なんかにこの国が負けるわけないだろ。なんせバカなんだぜ。バカの集団なんだぜ。そんなバカばっかりの集団に俺たちが負けるわけないだろ!はっはっはっ!」
なにー!こいつらはスパイではなく、ただのんきな奴らだったのだ。カイトはすこしがっかりした。なぜなら、カイト……はここでバカバッカ軍団のスパイを見つけて、テンサーイに貢献して、王様から1日1時間勉強をなくしてもらおうと考えていたからだ。
「それにしてもよ、カイト、センパイに向かって今の口のききかたはなくねえか」
「え、あ、その、ごめんなさい」
「ボコボコにしてやる…
フトリンがなにか言いかけた時だった。
「何あれ!!!!!」
リャカが遠くで空を指差して叫んだ。リャカが指を差した先にはとんでもないやつがいた。
そこには、でっかい鳥のような生物が浮いていた。赤い毛、大きい翼、カイトは目を丸くしてそれを見ていた。カイトはこんな生物カイトの世界では見たことがなかった。見たとすれば、三歳くらいの時に図鑑でみたプテラノドンのような感じだった。カイトは周りを見渡した。どうやら周りの人も、この生物は見たことのないらしい。
「あれは…アタマワリュウ…!!!!!」
そう呟いたのは王様だった。王様はいつのまにか宮殿の外に出てきていた。
「王様!あれは一体何ですか!?」
街の人たちが一斉に王様の周りに集まった。
「あれはおそらく、アタマワリュウ。わしの読んだ本ではもう絶滅していると書いてあったが…」
バサっと羽の音と共にそのアタマワリュウとかいう生物はこちらに飛びかかってきた。
「キャァァァァ!!」
「みな!力を合わせてあいつをここから追い払うんだ!」
「おそらく追い払い方はアタマワルザルと一緒じゃ!」
「行くぞ!」
王様の掛け声と共に近くにいた街の人たちが一斉にペンを取り出し、頭の良さそうなことを言い始めた。街の人、一人一人からそれぞれペン先からビームが出ているのをカイトは黙って見ているだけだった。すげえ。天才ってすげえ!
しかし、そのビームを真正面から受ているアタマワリュウはびくともせずにこちらにそのまま向かってきた。
「こいつ…!バカすぎて自分に向かって頭良さげな事を言われてることに気づいていないのか…!」
誰かが叫んだ。バサっ!!!!
「うわぁぁぁ離せ!!」
アタマワリュウはなんとクチバシにフトリンとホソランをくわえて、空に飛び立った。このままではどこかに連れて行かれる!王様もどうしたらいいかわからないような感じだった。いくら天才でもすげーバカには勝てないのか?カイトはすこしがっかりした。
そんなことを考えている場合ではない。カイトは空をみた。さっきよりもアタマワリュウが少し遠くに行っている。
なんとかしなきゃ!ふと、カイトはさっきフトリンとホソランに押し付けられた武器の山の中にピストルを発見した。
ガチャっ。カイトは弾をセットしてピストルをを構えた。
「あなた!何する気!!それを打つの?無理よ当たらないわ!しかももしかしたらフトリンたちにあたっちゃうかもしれないのよ!正気なの!?馬鹿なの?」
リャカがなんか言っているが、もうカイトの頭には入っていかなかった。
狙いを定める。大丈夫。絶対に命中させる。フトリンたちには当たらないようにする。狙うは、あのいかにも悪そうな顔だけ。
こんなの、カイトが毎晩やっていたゲームに似たようなもんだ。すこしリアルなだけ。
カイトは引き金に手をかけた。
パァン!!!!!
その弾はアタマワリュウの頭を撃ち抜いた。