19話 フトリン・ホソランVSコク
行くぞ!ホソラン!!
フトリンはそう叫ぶと、走り出して、コクの背後へまわる。
「子供がなにしようと、オレには勝てないぜ。」
コクはそう言って、腰に下げていた剣を抜いた。
ジャキーン!
コクが剣を振りかぶったとき、フトリンはペンを突き出して、叫んだ。
「58+572は?!!!!!!」
ペンの先から青白く光る玉が現れ、勢いよく放出された。
「おいおい。お前らは頭良さげなことを言ったら攻撃できるんだろ?今のは頭良さげなことじゃなくてただの問題じゃないか。」
剣はそのままフトリン目指して振り落とされた。
「630!!」
コクの背後から声が聞こえた。それと同時に、針で刺されたような痛みなコクの背中に響いた。
「なんだ?」
振り返ると、ホソランがペンを構えていた。コクと目が合うと、
「652÷2は?!!」
と言った。そしてホソランのペンからも青白い光が放出された。
その光はコクのもとへ……
行かなかった。
光の玉はコク横をまわり、コクの後ろにいるフトリンに向かっていた。
ギュイイーン 光が音を立て、フトリンに直撃する直前、
「326!!!!!!」
そう言いながら、フトリンはペンで光を弾いた。するとそれは赤色に変化し、加速しながらコクに向かっていた。
「!?」
コクが気づいた時には赤の光は既に彼の元に到達していた。
「痛ぁぁ」
「別に俺たちは頭良さげなことを言う以外でも攻撃できる。」
フトリンが言った。
「問題を言えば、その問題の難易度に合わせた攻撃力になるし、その問題の解を言ってタイミングよくビームを弾き返せば、倍以上の威力にビームが進化する。」
ホソランが付け加える。
「なるほど、そんなことはできたとはね。しかしバカだねぇ。そんなこと教えちゃったら対策するのが当たり前。お前らの攻撃はもう2度とオレには当たらない。」
コクが非常に腹立つ顔して言っている。
「いいや、バラしても、俺たちは攻撃を当てれるから教えたんだ!」
「なんだと?」
「613×5=!」
ザッ…!!
ホソランがすばやくフトリンにビームを放つ。
「それを跳ね返してオレにあたるんだろ?だったらよければいいだけの話。」
コクが左右にステップを踏みながら言っている。
「3065!」
フトリンが跳ね返す。スピードが倍くらいになったビームは一直線にコクに直撃した。
ズシィ!
「なっ…」
コクはビームの動きを予測して、この位置に移動したはずなのに、
直撃した。決して彼の読みが外れていたわけではない。しかしフトリンはコクが予測するのを予測してビームを撃ち返していた。
「ふざけやがって!!!!!!」
「533+554」ビュン!
「1107!」 バコン!
「5³!」 ビュン!
「125!」 バコン!
「4❗️」 ビュン!
「24!」 バコン!
…ビュン!
バコン!
…ビュン!
2人のビームの撃ち合いはコクがどこに動いても、先読みしてそこに攻撃し、すぐに次の問題を相手が打ち返しやすいところに放つ。
そして、コクに反撃する時間を与えなかった。
その姿はまるでコクを台にラリーを繰り返す、卓球のようだった。
「俺たちはキュッタじゃ、誰にも負けたことないんだ!
見たか!俺たちのコンビネーション!!!!!!!!!!」
フトリンとホソランが2人そろえてコクに言い放つ。
「はあ、はぁ… なかなか厄介な動きをするが、別に大したことないじゃないか。なんせお前らの攻撃は当たったところでそんな痛くないからなぁ!!」
非常に腹立つ顔でコクが2人を煽る。2人の攻撃は決して弱いものではなく、しかも何度もくらったのに立っていられるのはさすがヨンバカブカといったところだ。
「オレはもうさっきから腹が立って仕方ないんだ。人質にしようと思ってたけどもうそんなことはどうでもいいぜ!全員ここで死ねぇ!!!!!!!!!!!!」
コクはそう言って、ポーチから鉄砲を取り出した。
「まずはお前からだ。」
銃口はホソランに向けられた。
「…!」
ホソランとフトリンは10分近くビームラリーを続けていたのでもう体力の限界で動けない。
「死ぬのはお前だ!ヨンバカブカ!!」
そう言ったのは2人の戦いを見ていた市民たちだった。
「はあ?さっきまでビビってた野郎共じゃないか」
コクが振り向く。
「君たちの戦いを見て、勇気をもらったよ。ほんとは大人の俺たちがしっかりしないといけなかったんだ。すまなかったよ。」
市民の中の1人が言った。手にはペンを持っている。
「今度は僕たちの番だ!大人の俺たちならどデカい攻撃を喰らわせられる!!!やろう!みんな!バカを追い払え!」
もう1人が叫ぶ!!
「うおおおおおお!!!!!!」
市民たちが答える。ペンを構える!
「ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!!!!!!!!」
皆がそれぞれ自分の頭良さそうなことを言い放つ。
それぞれがまとまり、一つのビームとなりコクのもとに迫る。
「これは、当たったらヤバそうだが、さっきのガキたちのビームに比べればノロいもんだ。簡単に避けられる。」
タッ!
コクがジャンプ…
ズキン!!!!!!
な!?膝が!動かない!!!
まさか!さっきまでのダメージが思ったより、高かったのか?!!!!!!
まずい!!!!!!
分厚いビームがコクに直撃する。
うわぁああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
砂埃がだんだん晴れて、人影が見えてくる。
「はあ……がはっ!」
コクがボロボロで立っている。
「まだ…まだ…だ…」
ゴン!
フトリンとホソランがコクの頭を拳で殴った。
ドサ!コクはついに気を失って地面に倒れた。
「ここはテンサーイ王国なんだ。市民だって合わされば、強くなれる!」
フトリンが倒れたコクに言った。
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