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0点戦争  作者: ひだこす
17/20

17話 リャカVSスー

 「リャカはどこに行ったんだ!?」 

フトリンが列に並びながら言った。

「知らないよ。トイレじゃない?」

ホソランが答える。

「こんな時に行くわけないでしょ。結構やばい状況なんだから。」

そう彼が言う通り、この国は結構やばい状況なのである。

役所に移動している市民たちの背後では、バカバッカ軍が大量に攻め込んできていた。いままでの戦争で聞いたことのない爆発音も聴こえてくる。そのような事態に、市民の子どもたちの中には、泣いている人もいる。

「ゆっくりしているとバカバッカ軍がここまで来る。ペースを上げるぞ。」

先頭の兵士が言った。その直後、グサっと音がしてその兵士が倒れた。




「残念もう来ちゃいました。」



倒れた兵士のまえに、怪しげな男が立っていた。



「バカバッカ軍…!?」


















「ここから先へは行かせないだと?」


「ええ、あなたはここで倒れてもらうわ」

そう言って、リャカはポケットからペンを取り出した。

ここは山のふもと、リャカの後ろには市街地への道が続いている。


「知ってるだろうが、ヨンバカブカはバカバッカ軍、最高戦力だ。こんな子どもなんか、瞬殺してやるわ。」


「知らないだろうけど、私はこの国の子どもの中で1番頭いいのよ。バカは黙ってて。」


そう言ってリャカはペンを持った右手を前に突き出した。

「y=ax²!!!!!!」

そう叫ぶと、リャカのペンからビームのような魔法が繰り出された。

その光はヨンバカブカ、スーに命中した。


「私たちはね。ペン持って頭良さげなことを言えば魔法で攻撃できるのよ。バカのあんたにはできないだろうね。


攻撃を受けたスーは、一瞬よろけたが、すぐに体制を整えた。

「確かになんか頭良さげだが、あまり痛くないじゃない。もしかして、叫ぶ言葉の頭の良さ具合で攻撃力が変わるのね。」

スーがニヤリと笑みを浮かべながらリャカを睨んだ。

「ククククこれならナイフで攻撃した方が、楽でいいじゃない!!」


「…!!!!!!」

スーがリャカにナイフで斬りかかる。

「うわぁあ!!!!!!!!!!」

ナイフの刃がリャカの肩をかする。そこからぽたぽたと血が溢れてくる。



痛い  

             痛い

  痛い    痛い

 痛い  痛い   痛い


  痛い

       痛い


リャカは恐怖で頭が真っ白になった。こんなに出血をしたのは人生で初めてだった。これが命をかけた闘いなんだとリャカはその時ようやく理解した。



「次はかするだけですむと思うなよ!!!!!!」

たちまち次の攻撃がくる。


逃げなきゃ


スーに背中を向けて、リャカは走り出した。



ズバッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


リャカの背中に激痛が走る。斬られた。背中を、右から左に。

幸い傷は浅かった。だがそれは、彼女から戦意を喪失させるのに十分な痛みだった。



リャカは草むらに転がり込んで、身を隠した。

目から涙が溢れてくる。あの時「待て」と言わなければよかった。


「あれえ、なんなにかっこつけといて隠れちゃうの?根性ないわねぇ」


そうだ。ここで私が諦めたら、皆がやられちゃうんだ。私はこの国一の天才なんだ!情けないぞ!!


ガサっ!


痛みを堪え、リャカは草むらから立ち上がった。


「あら、やっぱり根性あったわね、あんた。安心して、もうすぐ楽にしてあげる。」


スーがナイフを持ってこちらに迫る。



「  いちぃぃ!!!!!  」

リャカが震えた声で叫ぶ。


リャカのペンから弱そうな光が出る。 

その光は、スーにたどり着く前に、よれよれと地面に落ちてしまった。


「はっはは、今なんて言ったぁ?『1』だって? パニクってアホになっちまったかぁ、1なんて、全く頭良さげな言葉じゃないわ!」


振り落としてくるナイフを、リャカは全速力で走り左にかわした。

だっ!!

リャカはスーの横に回り込んだ。

「  5ぉ!!  」


またしてもリャカのペンは弱い光を放出し、そしてそれもまた地面に落ちて言った。


「ガハハ、笑いが止まらないよ。悪いが、あんたに勝ち目はないよ。」

スーの笑い声も無視してリャカはスーの周りをぐるぐる走る。

そして叫んだ。


「 9ぅ!!」

「13!」

「じゅうななぁぁ!!」


どの攻撃もスーに届くことなく地面に吸収されていく。


がし!


ついにリャカはスーに左手に捕まった。




胸ぐらを掴まれながらリャカはまだ叫ぶ



「21!」「25!」「29!!」「33!!」……「193!!」


「悪いねぇお嬢ちゃん。さっきまで面白かったけどもう飽きちゃった。数字だけ言ってんのもバカみたいだからやめなよ。もう鬱陶しいからそろそろ殺しちゃうね。」

スーは右手でナイフを振りがざす。





「バカみたいなのはそっちでしょ!!」


「はあ?」


「今の数列はね4ずつ増えてるの。分かる?さっきまでの数字ビームは最初からあんたを狙ってなんかいないわ。さっきまでの数字たちはね!地面で合図を待ってるの!!強力な攻撃のためのね!」



リャカがペンを構える。


「地下の数字たちは!この数列の一般項を待っている!!

初項は1!!項差は4!!それを公式に当てはめれば………!」



「ちょっと…!さっきからなにを言っている…!!」


「理解できなくて当然!!バカにはね!!



           A n=4n -3!!!!!!!!!!」


掲げられたリャカのペンは大きな音とともに眩い光を放出した。

同時に地面から鋭く、太いビームがスーの体めがけて飛び出した。




「なるほど…た、確かに、あたま、良さげだわ…」






ぼっかぁダァぉどぉワンワンンンンンンン!!!!!!!!!!!





バカバッカ軍にはバカみたいと言われたくないですね

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