五章 「自殺未遂の繰り返し」
繰り返される辛さ
朝を迎える度に、私は生まれ変わったような気分になる。
昨日の自分を忘れ、再び新しい気持ちになることができるからだ。
どんなことがあっても朝はやって来る。
そうすれば、生まれ変わることができる。
今日も気持ちのいい朝だ。
幽霊がまとわりついてくることを除いてはだけど。
この幽霊は、あの日から私の家に住み着き始めた。
私の許可も得ていないのに、なんのつもりだろう。
出ていってといったけど、消えなかったのだからどうすることもできない。
朝起きると、幽霊に「おはよう」と挨拶されるなんてシュールすぎる。
その後も、色々な方法で自殺を試みた。
その数は5回を越える。
ちなみに、今日もした。
でも尽く幽霊に阻止されて、失敗に終わった。
「死にたがりの杏奈ちゃん、もうやめようよ?」
「杏奈ちゃん、命は1つしかないんだよ」
幽霊はいつも明るく言ってくる。
優しくて暖かい声。
でも、その度に私は無視した。
幽霊は相当暇なんだろうか。
私になんかに構っていないで、幽霊の仕事とかはないのだろうか。
私も変わっていると自覚はあるけど、この幽霊はきっと幽霊の中でかなり変わった幽霊だ と思う。
ここまで来ると、もはや可笑しくなってきた。
だから私は、ある日何でこんなことするのか聞いてみた。
私はこの幽霊に興味を持ち出したのかもしれない。
今まで何にも興味の持てなかった。
いつの間にか何かに興味を持つことをしなくなっていた。
そんな私が、少しでも興味を持ち出したのだ。
「それは、杏奈ちゃんが死にたい理由に関係があるよ」
私は、そう言われて心の奥底に押し込んでいた気持ちと再び向き合うこととなった。
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死にたいと思う理由とは?