第七話 正偽と悪党
電車から降り、近くのコンビニから水を買ってきて一休みしたのち時計を見る。時刻は午後2時ほどだった。
アッキー:「やっぱしこの時間は人が少ないな、ちょうどいい。」
柏木:「おーい、あーきーらーくーん。言われたもの買ってきましたよー」
アッキー:「お、まじか、サンキュ。素直に買ってきてくれるとは思ってなかったわ。」
柏木:「ていうかどういうことですか?こんな美少女を捕まえて、なんでこんなもの買わせるんですか!何ですかこの雑なメモ書きは!」
【そんなに安くない圧力釜とかそこらへん 火種になる火薬とかそんなの 目覚まし時計 金属のパイプかそれに似た何か 後は言わなくてもわかんだろ? 】
柏木:「分かるわけないでしょうこんなの、しかもこれを女の子一人に買いに行かせるってどういう神経してるんですか?」
アッキー:「…えーっと。おースゲーじゃん。そんなこといってるけどちゃんとほしかったもの全部あるわ、どんな手段使ったらこんなの手に入るんだよ。」
柏木:「まあ私には長い間積み重ねてきた伝手ってものがありますから。」
アッキー:「それを言っていいのはそこそこ年取った奴だけだよ。」
柏木:「まあそれは置いておいて、いつ行動するんです?」
アッキー:「…あ、ああ。準備できたらもう行くさ。」
そう、ここから先は一歩間違えれば犯罪者。豚箱に直行だ。しっかり気を張らねば。
柏木:「言われるがままについてきましたけどこれからどうするんですか?」
ついた先は駅から少しのところのシャッター街だった。その外れの商店街を俯瞰できる路地裏にいた。
アッキー:「ん?ああもうすることはないよ、さっき仕掛けてきたし、ここまで見てきた君には俺が何をしようとしているかわ分かるよな!ってやつだよ」
柏木:「いや、何目線ですか」
アッキー:「で、スマホで一瞬だけアプリ開いて終わりってわけだ。これで俺の場所がバレるんだろ?」
柏木:「まあそうですけど。複数人同時に来たらどうするんですか?」
アッキー:「べっつにー、今仕掛けたやつ起動したらさっさと逃げるだけだよ。」
アッキー:「さーって、見ろよ、誰か来たみたいだぜ。」
???:「どーこーだ!隠れずに出て来い!自分がドジ踏んでいるのを分かっていないようだが、貴様の場所は分かっている!」
アッキー:「あーらら、思ったよりバカっぽいの出てきたよ。こりゃ脳筋タイプ確定かねぇ?」
柏木:「呼ばれてますよー、行かないんですか?」
アッキー:「行くわきゃねーだろ、即死よ?行っても。そろそろだと思うぞ、3、2、1ってなぁ!」
その時脳筋男(仮)の近くで爆発が起こった。
アッキー:「圧力釜の即席爆弾だぜ!威力はともかく視界は奪えるし、運良けりゃスマホもぶっ壊せる代物だぜ!さあ我が物顔の天才どものターンは終わりだぜ、ここからは雑魚のターンだ。」
柏木:「あ、ははは、白くんの中二病。いつも通りすぎてむしろ安心しますね。」
???:「ぐあっ!なんだこりゃ!ひ、卑怯者がッ!」
アッキー:「そりゃどうも、誉め言葉だな。んじゃオマケにこれくらいな。」
少し離れた距離から土埃の中から姿を現した男に向かって物体を投げつけた。
アッキー:「手作りの鉄パイプ爆弾だ。愛を込めて作ったからおいしくいただいてくれよな」
今度の爆弾は男に直にぶつかった。即席だから威力は微妙だけど、あほみたいに開けっぴろげにスマホを見せびらかしながら来てくれたおかげで助かったわ。
アッキー:「じゃあな、人殺しかその予備軍を殺しただけなんだ、どうか恨まないでくれよ。おい、柏木、何ボーッとしてんだ、逃げんぞ、爆弾使ったから幾ら昼間だからって人が集まってくる。」
柏木:「…え、あ…はい。別にいいんですけど、それ、対処しなくていいんですか?」
元居た場所から表に出た所にいた柏木は自分の後ろあたりに向けて指をさしていた。
アッキー:「は?なんのことだ―――――」
反射的にさされた方向を向く。するとその人はいた、いや先に言っておくとさっきの脳筋野郎ではなかった。全く知らない一般の人だった。その一般人に何故俺は羽交い絞めにされているんだ!?
アッキー:「え、っと。なんだよ、これ?どんな状況?」
???:「卑怯なことをしてるのにその腐った性根を見て見ぬふりをしながら、正義の甘い汁を寄生虫のごとく啜らないと生きられない君のような悪が正義の味方に倒されるシーンだよ」
そこには脳筋男が立っていた。まあ生きていたのも驚きだがひとまず置いておこう。問題はその姿だった。年齢は自分より少し上、そこそこ美形の外国人の…大学生位の男だろうか。問題は服装、簡単に説明するならそれは仮面をつけてそうなライダーの服だった。いや、それに戦隊が混じっている感じといったらいいのだろうか?とにかくそんな感じだった。
アッキー:「…あはは、はじめまして、なんで無事で平気な顔をしてるのかとかいろいろ聞きたいことがあるんだけど、ひとまず拘束といてもらえないですか?」
畜生、失念していた。複数人来る想定ならいくらでもしていたが手を組んでいた場合なんて考えていなかった。そもそも先日交渉しに来られたばかりじゃないか、何故忘れていたんだ!
???:「挨拶ができるのは正しさの証!だが君が今更正義の皮をかぶったところでその本性はまる分かりなのだよ!ああ、ああ!先ほどまではよく見えていなかったがいざ見てみれば君の姿!なんて醜悪な!もはや哀れという感情すらわいてくるようだ」
話聞いてないなコイツ。電波系はやばいって、話通じないから逃げる手段が力業しかないぞ
アッキー:「…えと、いやー第三者からの興味深いものだね、俺のためにわざわざ憐れんでくれてありがとう。えっとー、君もこのゲームの参加者ってことでいいんだよね?ちなみにどんな理由でこのゲームに参加したの?個人的に、後これから悔い改めて生きていくために聞かせてほしいんだけど」
???:「だがッ!君は初めての人に会ったら自己紹介をするという常識を知らないのか!これだから悪はどうしようもない」
話を聞いてください。柏木の方に目を向けるとその姿はすでになかった。おそらく逃げたのだろう。くそが、生きて戻れたら絶対しばく。
アッキー:「あ、えっとー、柚木 白です。」
???:「ほーう、悪党にしてはいい名前だな。両親はさぞ考えてつけてもらった名前なんだろうな、だからこそこのような悪に育ってしまうとは。嘆かわしい。両親に申し訳なく思わないのかね!」
余計なお世話だよ、つーかその両親本人に捨てられたんだけどな俺。もう何年会ってないか覚えてねぇわ。それに
ハルトマン:「だが、悪党が名乗ったのなら僕の名も名乗らないわけにはいくまい!僕の名前はルードヴィヒ・ハルトマン。世界にはびこる悪を淘汰すべく神より選ばれし正義の味方!」
カッコよくポーズを決める。
アッキー:(正義ねぇ…おおかた日本のテレビを見てあこがれて、ついには帰化した。みたいな感じなんだろうな。日本語も流暢だし。)
アッキー:「へぇー、そりゃ結構なこって。じゃあ今すぐ理不尽な拘束を外してくれませんか?」
ハルトマン:「君は言ったね、なんで無事でいるかって。君には見えないのかね、この悲劇的な光景が、君は言ったね、なんで平気な顔をしているかって。僕はね怒っているんだよ、僕の無実のファンを傷つける君のことをね!」
激情、というよりヒーローが怪人を見るような視線を向けてきていた。心から正義の味方なんだな。
そう思いながら、印象的すぎるハルトマンから視線をそらし、その背後を見てみる。
さすがに驚いた、彼の後ろには何人かの人たちが倒れていた。
ハルトマン:「この子たちは僕のファンさ、君の愚かな奇襲から身を挺して守ってくれたんだ。許さん許さんぞぉぉぉぉ!」
アッキー:「…うっそ、だろ?冗談だよな?死ぬかもしれないのに他人をかばう奴なんているわきゃないだろ。…ああそうか、そうだったのか。てっきり物理系の能力と思い込んでいたけど違うんだな。まさか洗脳だったなんて、そうかそういう方向の能力もあるのか。」
ハルトマン:「洗脳とはこれまた悪。ただ僕はファンの子たちを守ろうとしているだけだよ、神が僕に授けた力は悪党を成敗し構成させることだけだからな。今ではすっかり更生して僕のファンやっているよ。君を捕まえている彼もその一人さ」
アッキー:「はっ、強制してんじゃねぇか。洗脳と何が違うってんのか」
ハルトマン:「全く違うね、ファンたちが僕を守ることは強制した覚えはないからね。そういえば君は僕がこの戦いに参戦している理由を聞いたね?まあ殺し合いをゲームなどと形容していた君に言うのは業腹なのだが。教えてやろう!正義の味方なのでな!」
ハルトマン:「僕の願い、それは!!この世にはびこる悪の殲滅。」
その男はためにためてからそう言いきった。…それだけ?
アッキー:「……あっはは、こんなゲームに参加してる人殺しのくせに立派な願い事するんだな」
ハルトマン:「なんだって?」
まずいなぁ、ちょっと長いし過ぎだ、ちらほら人が集まりだしてきやがった。
アッキー:「なあ許してくれよ、実をいうとな俺のこのゲームに参加した理由って世界平和なんだよ、みんなで幸せに暮らせる世界を作れたらなって。」
ハルトマン:「ほー、興味ないな。それが悪党の夢となればなおさらだ。…僕もな、分かっているんだ、この世にはどうしようもない悪がいるということは。世界のみんなが幸せになんて不可能だっていうことは。ならば、僕が君のような悪を駆除して君の分まで世界を平和にすると誓おう。死んでくれ。」
俺と更には俺を拘束してる奴ですらお構いなしに見事な回し蹴りをした。
???:「待ちたまえそこの君!この辺りでボヤ騒ぎがあったと聞いて駆けつけたのだが、どうやら由々しき事態のようじゃあないか。ちょっと、話を聞かせてもらおうか?」
数人の野次馬の中から出てきた後ろからハンチング帽をかぶった少女そういい、更に遅れて後ろから追いかけてきた男からの文句を無視しながらこう言った。
???:「安心したまえ、私は警察じゃない。ただここ最近ネットを騒がせているプロレス男ってのに会いに来たんだ、話が聞きたくってね。私はただの探偵さ。」
あ?その時の俺?回し蹴り直撃して絶命してたよ。
読んでいただきありがとうございます!楽しんでいただけたのなら幸いです
最近キャラ紹介を後書きでできていないのが辛いんですけど、もう少ししたらまとめてしたいと思います!
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