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いつかどこかの彼女と嫌われ少年  作者: こしあんタケノコ
3/9

第ニ話 書き換えられた現実

  

柏木︰「おーい待ってくださいよー、逃げたところで場所はバレているんですから意味ないですよー。」


へらへら笑いながらこのクソッタレの状況を作った彼女は長い艶のある黒い髪を揺らしながら逃げ出した俺を追ってきた。


「うるせぇな!じゃあどうすりゃいいっつーんだよ!俺は一般人なんだよ!そんな今まで何人も殺してきたような異常者に正面から挑めなんて無理な話だろうが!」


柏木︰「んーじゃあしょうがないにゃー、不甲斐ないアッキーに特別に情報をあげるよー。柚子ちゃんやっさしー!」


「おいおい、キャラが変わってるじゃねぇーかよそれが本性か?……ってアッキー!?お前、俺の名前!」


柏木︰「はい?勿論知ってますよ、柚木 白(ゆのき   あきら)それがあなたの名前ですよね?通称アッキー」


アッキー︰「知ってたのか…」


柏木︰「ええまあ、標的の情報ぐらいは調べてから接触をしていますので。あなたのホクロの数と位置と形まで把握してますよ。」


アッキー︰「いや、知りすぎだろ本人ですら把握してないことまで知らないでくれます?って、んなこたどうでもいいんだよ!早く情報ってのを教えてくれ!」


柏木︰「しょうがにゃいですねぇー、では私が情報を売った相手のことをお伝えしましょう。今あなたを狙っている彼は身長体重共に平均的で健康体ですね、ああ煙草の影響で少々肺がやられていました。服装などにあまり気を使わない正確なので休日にはジャージ姿でコンビニとかに行っていますね。」


アッキー︰「いや!そんな情報とかどうでもいいんだよ!もっとそんなのよりも重要なことがあるだろ!」


柏木︰「そう急かさないでください、うっかりまた殺ってしまったらどうするんですか?」

優しそうな口調をしながら笑うが冗談の方の笑い方じゃなかった。怖えよ。


柏木︰「それで…肝心の…能力ですけど……」


アッキー︰「…なんだよ急にどもりだして。」


柏木︰「…そろそろもう我慢ならないんですよ……情報はあげますから…どうか…どうか」

なんか様子がおかしくなってきてないか?急に震えだしてフラフラしているがどうしたのだろうか。


柏木︰「もう一回だけ殺させてもらえないかなぁ!」

息を荒げて、頬を紅潮させながらそういった。あれ?俺何かやっちゃった?


アッキー︰「えとー、あはは。冗談がすぎるぜ、ごめんな俺何やったか思い当たる節がないんだけどとにかく悪かっ…がっ!」

痛ってぇ!


柏木が投げた物体が柚木の左腕に命中する。


こいつ!話してる途中に攻撃してきやがった!角木材は投げるものじゃねぇんだぞ!

やっぱりどう考えてもただいかれてるだけですね。だって目が完全にやばいもん!


アッキー︰「くそっ!俺は逃げるぞ!殺されるのなんてゴメンだよ!」

何故声をかけてから逃げたのかは分からなかったが、幸い半狂乱状態の彼女には聞こえていなかった為逃げることはできた。


アッキー︰「何なんだよアイツ…ほんとに意味がわかんねぇよ!今までの話も全部あいつのホラだったんじゃねぇの?」

だが心の中ではなぜだか嘘だと思うことができなかった。


アッキー︰「つーか、どっちにしろまともな情報くれてねぇじゃねぇか、この情報量でいきなり殺し合いだ、なんて冗談にも程があんぞ。ってやべ取り敢えずどっかに身を隠さねぇとまずアイツに殺されちまうよ。」

そうして再び走り出すと曲がり角のあたりで人とぶつかってしまった。


松井︰「うわっ、ったくよぉどこ見てんだ、って。ん?その…いつ見ても辛気臭いめんどさの塊の顔は……柚木か。」

目の前には我が担任にして生活指導員を務める教師の松井先生がいた。

そういえば気にも止めてなかったけれど彼は俺のことをあからさまには嫌悪しない(?)貴重な人の一人だったりする。ただ怠惰なだけかもしれないが。


アッキー︰「あ、えっと…ごめんなさい先生。えと、お、俺急いでるんで!」


松井︰「…おいちょっと待て、なんでお前そんなに急いでるんだ?てかお前腕怪我してるじゃねぇか、ちょっと見せてみろ」

ちょっと泣きそうだった。まともな意味で人に呼び止められたのはいつぶりだろうか。


アッキー︰「ありがとう…ございます。でも、」

でもだからこそ巻き込むわけにはいかない、ただでさえサイコ女に追われてるのに加えてトンデモ能力を持った奴らからも命を狙われているんだ。万が一にでも関係ない人を巻き込むわけには…


松井︰「どんな事情があるのかは聞かないでおいてやる、けどな怪我した生徒を見捨てるほど俺は落ちぶれちゃないぞ。近くにおれん家あるからちょっと寄っとけ。手当してやるから。」

真面目な顔でそう言われたためもう言い返すことができなかった。


アッキー︰(ったく、いつもの適当さはどこいったんだよ。……手当をしてもらい次第、一刻でも早く先生から離れるようにしなければ。)

案内されてついた先生の家は、一人暮らしには少々広いかと思われ、本人の性格をそのまま写したような酒瓶や生活用品が散らかった一軒家だった。


松井︰「無駄に広ぇーだろ。嫁さんがいなくなっちまったからな、持て余しちまってんだ。まぁそこら辺でくつろいでろ、今手当してやるから。」


嫌われてばかりの人生に半ば嫌気がさしていたが、この世にはこんなにもいい人がいるのだとやっと救われたような気分だった。お礼も何もできないけれど部屋の掃除くらいはしようかと思った。…何か忘れてる気もするが…まぁいいか。


アッキー︰(こんな汚い部屋じゃ暮らしにくいだろ、空気も淀んでるし、服も脱ぎっぱなしだし、血溜まりもできてる…し?)


松井︰「わりぃーな、お前も大変だったんだな。ただの気味悪ぃ奴だと思ってたわ、その不幸さを呪いながら死んでくれ」

背中に刺さっている酒瓶を見ることでやっと忘れてたことを思い出した。


アッキー︰(彼…身長体重は平均…煙草…服装はジャージ…家についたときに投げた袋は…コンビニの袋!…ああ、なんて迂闊なんだ。俺馬鹿なのか?そもそも俺は死にすら嫌われる男だぞ、優しくしてくれるやつなんて…いるはずがないじゃないか!)


松井︰「あー、割れた酒瓶で刺したぐらいじゃ死なねぇもんなのか。へー勉強になったよ。はぁ、クソ知りなくねぇ知識をありがとよ。今楽にしてやるよ」

そうしてそばにあった灰皿で頭を殴打され、俺は絶命した。


だが、当然のごとく目を覚ます。すると目の前には灰皿で防御している松尾の姿と、手に持った包丁で襲いかかっている柏木 柚子(かしわぎ ゆず)の姿があった。


柏木︰「あ!おはよーございます!気分はいかがですか?」

気分だと?最悪だよ、現実逃避したい気持ちでいっぱいだよ。違うよな?さっきまで貧血で気絶してただけだよな?


松井︰「は?おいおい聞いてないぜ、死なない相手をどうやって殺せっつーんだよ?」

はー、やってらんねぇよ。知ってたけどさ


柏木︰「それが、彼の能力ですからね☆」


アッキー︰「なんで、なんでこんなことを平然とできるんですか!あれですか!俺が嫌いだからですか!そうですか、そうでしょうね!」


柏木︰「あはは、貴方も同じ穴のムジナなのによくいいますね♪。貴方もこの人たち全員殺そうとしていたくせに」


松井︰「黙れ、どうせてめぇはコイツにまともな情報を教えてねぇんだろ、位置情報が丸わかりになってる時点で察するわ。」


柏木︰「アハッ、なんのことでしょうか?」


松井︰「大体予測がつくんだよ、コイツみたいな単純なやつ。どうせ今後の身の保証ともう嫌われる事はなくなる!とでも言ったんだろ」


単純とはなんだ、単純とは。だが残念なことに間違っていなかった。


アッキー︰「なんで…分かるんだよ…。」


松井︰「あ?んなもん決まってんだろ。そりゃ俺がテメーの教師であり、担任だからだよ。」

そばにあったソファに腰を掛け、新しくタバコに火をつけながら言った。

目の前には刃物を持った少女改め、狂女がいるのに。すごい胆力だ。


松井︰「大体おかしいと思ってたんだ。お前の嫌われ様に反して反応の薄い周囲、転校生で来たとかいうこいつの存在、出来過ぎだ。まぁ、出来過ぎつー話はこの世界自体にも言える話だけどな」


柏木︰「結局何が言いたいんです?それは遺言でしょうか?」


松井︰「ちげぇーよ、俺は教師だ。だからそこのアホに人生最後の教えを授けてんだよ。」


アッキー︰「あんた…頭おかしいんじゃねぇの…人を殺しておいて何が教師だよ!なんでそんなに気楽にいられるんだよ!人を殺しておいてなんで平然と日々を送ってるんだよ!そりゃ俺から見なくても、あんたは素晴らしい教師じゃなかったけどさ!毎日気だるそうにしてるし、ズボラだし、何もかも雑だしだったけどさ!悪ではなかったはずだろ!」


松井︰「そりゃ、何を犠牲にしても叶えたいことがあるからだよ」


アッキー︰「……!」


松井︰「最悪な外道に身を落とそうが、ポリシーに反しようが死にものぐるいで叶えたいことがあるから、そうでなきゃ無駄に生き続ける意味なんざねぇからだ。これはそういう戦い、殺し合いだ。甘い考えは捨てろ。」


柏木︰「駄目ですよーせんせ、アキくんいじめちゃ、アキくんはこんな状況でも平和に終わる方法はないかちょっと探しちゃう子なんですから〜、アッキー可愛いすぎー!絞め殺したくなっちゃいます〜」


松井︰「…そこだよ、俺が気に食わねぇーのは。てめぇは何がしたいんだ?コイツに肩入れするのは別に構わねぇが、やるならちゃんとやれ。何故情報を教えない?てめぇは何を考えてる?」


肩入れだと?どういうことだ?肝心の柏木はニコニコしたままだし…。


松井︰「まぁいい、どちらにせよこのまま殺すのは気に食わん、今回は見逃してやるよ。」


柏木︰「逃してあげると思ってます?」


松井︰「思ってねぇよ、けどお前が殺し合いに干渉できない条件は知ってるそれはな…」

そういってこめかみに懐から取り出した銃を突きつける


松井︰「能力を使った殺し合いの間だ。」

引き金を引く、すると俺は絶命した。なんで!?


松井︰「これで手出しはできないはずだろ、じゃあ俺は逃げさしてもらうぞ。ああ、この家、好きに使っていいぞ。」


少し時間は経ち、やはり死んではなかったようで血塗れのソファから起き上がるともうすでに先生はいなかった。どころか柏木すらいない、全ては夢だった…なんてことは当然なくまた少し経つと柏木が


柏木︰「おはよーございます!本日はお日柄もいいですね!雨ですけど。そういえば今日はスーパーで特売だったんで、お肉!買ってきたんですよ〜」

などと抜かしてきやがった。


そう柏木だ…松井教諭に再度殺される際どういう原理なのか、耳元でこう囁かれたような気がしたのだ。


柏木 柚子を信用するな。彼女はこの世に存在していない。と

読んでいただきありがとうございマス!

楽しんでいただけたのなら幸いデス


キャラFILEその3

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松井(まつい) 雄生(ゆうせい)


主人公の通う高校にて担任と生活指導をしている。

普段から気だるさ満載で対応が大体雑。

生徒からは意外と人気、教師たちからの評価も何故か高め

重度の喫煙愛好家で休み時間毎に喫煙スペースでタバコを吸っている。


担当教科は倫理


顔はイケメンなのに目の下のクマと死んだ目とズボラさが台無しにしてる残念教師。 女子生徒達 談 

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