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【完結】少年王が望むは…  作者: 綾雅(りょうが)9月は3冊!
第4章 愚かな策に散る花を

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4-18.不慮の事故は必然です

いつもお読みいただき、ありがとうございます(o´-ω-)o)ペコッ

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☆・゜:*(人´ω`*)。。☆

「ゼロシアは動かない」


「あら、もう手を打ったの?」


「動こうとしたのは王弟派だ」


「まあ」


 ドロシアが意味ありげに笑う。オズボーン王室と縁戚関係にあるゼロシア国だが、現在は2つに割れていた。主流である現王と王太子の一派、オズボーンから妻を迎えた王弟派だ。


 降雨量が急激に減ったここ10年で、オズボーンの国力は著しく低下した。彼らは他国の王族と婚姻を結ぶことで、豊かな国土を持つシュミレ国へ攻め込もうとしている。策として悪くはない。


 ただ、仕掛けた相手が悪かっただけ。


 後に賢王と讃えられる治世を敷くエリヤと、彼の望みを全力で叶える有能な執政ウィリアムがいなければ……あるいは成功したかもしれない。そして大陸で『聖女』として謳われるリリーアリスの存在も、他国がシュミレ国に攻め込まない要因のひとつだった。


 オズボーンとの戦が終わって国が弱っているタイミングで、内側の貴族が国王暗殺に動いた。この動きはすべて隣国の策略によるものだ。知っていて罠に嵌ったウィリアムが手をこまねいている筈もなく。


「近々ゼロシア王弟殿下が事故に遭われるそうだ、儚いな」


「それはまた……お気の毒に」


 これから『不慮の事故に遭う』ゼロシア王弟の運命を、彼と彼女は一言で切り捨てる。他国の王族だからではなく、互いが(かしず)く相手を傷つける敵だからだ。利害の一致により、事故は確定事項となった。


 ドロシアが魔女と呼ばれた原因は、菫色の瞳だ。しかし現在彼女を知るウィリアムやエイデンが『魔女』と呼ぶのは意味が違う。彼女自身が身につけた人脈と服従させた配下の能力故だった。少年王の姉として政略結婚の駒にされかねないリリーアリス姫を護るため、ドロシアは忌み嫌われる能力をフル活用する。


 同様に『死神』と呼ばれるウィリアムも、少年王エリヤを護ろうと全力を尽くす。彼らの利害が一致する限り、互いは利用できる駒だった。


「お悔やみはいつ頃送りますの?」


「お任せしますよ」


 他人行儀名口調で、交わされる会話は黒い思惑に塗れている。事故に遭う時期を決める彼らの言葉は、読み取られぬよう唇の動きを隠して行われた。


「ウィル、この薔薇を摘んでもいいか?」


「お待ちください、エリヤ様。お手が傷つきますゆえ、私が摘みましょう」


 侍従としての言葉を返して立ち上がる。ウィリアムは隣のレディを振り返らなかった。

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