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第四話  癒夢(ゆめ)

 ──話し声が聞こえた。楽しそうな声だ。意識が完全に覚醒すると、俺は階段を下り、夕食の席に着いた。

「カナちゃんは今日のテストどうだったの?」

「んーとね、まあまあだったよ?」

親がテストの話題を出してきた。俺にはカナ、という妹がいるのだが、こいつがまた俺とは対極の道を歩む者で......。こいつが言う、"まあまあの成績だったよ?"というのは、いつも学年で5本の指に入った、という意味。

「──あんたは。」

声のトーンがこころなしか低いばかりでなく、接する態度も違う。

「まあまあだった。」

「..........」

「あんたそのままだと行く大学ないよ?」

「.......ん。」

こういうときだけは、いっそ逆ギレなり何なりしてこの大っ嫌いな親を塵にしてやりたいと思う。何とか衝動を抑え込み、短い返事を返しておいた。

 ───ほら見たことか。あんたが変な質問なんかするから、食卓の雰囲気が気まずくなったじゃねーか...。

 俺は早々に食事を切り上げ、入浴を終わらせる。歯を磨いて、お休みも言わず、こっそりと自室にこもる。

「─────はぁ。」

この家にも、俺の居場所と呼べるようなところはない。──家出?家出か。うん、家出なぁ....。したいと思うときは多々あるけれど、外ではケータイを充電する機会が少ないだろうから、ゲームのログインボーナスすらロクに貰えないし、家が無けりゃ必然的に体は汚くなるし、そんな汚い体でケータイの痛ケースを扱いたくはないし、第一部屋に残したタペストリーやポスターが心配で夜も眠れないだろう。

 ・・・なんか最近美少女が印刷されてるってだけで「物」に感情移入しすぎな気がする。まぁ、別に何がどうなるわけでもないし、いいか。とりあえず今日もパソコンを立ち上げ、ゲームへアクセス。




 ────したはずだったのだが、どうやらそのまま寝落ちしてしまったらしい。まあ、結構疲れてたもんな、いろいろと。

 俺は、ゆっくりと体を起こすと、朦朧としている意識を一喝すべく、深呼吸をした。が、もやもやはいっこうに消えない。それどころか、自分が呼吸していることすらも、自覚しづらい。

 なんの事も無い。──ただの夢だ。希に、自分が今夢を見ている、ということを自覚出来るときがある。そんなときは、まるで、異世界転生したような気分になれるから、ちょっぴり幸せだ。

 なんとなく辺りを見回してみる。

 五里霧中とは、このことを言うんだろうな。まわりがもやに包まれていて、何も見えない。立ち上がり、ゆっくりと前進してみる。


 何も見えない。脳があまり地形を想像してないからかな。そう思い、頑張ってなにか風景を想像してみるが、如何せん上手く出来ない。そうこうしているうちに、まただんだん眠くなってきてしまった。抗おうとするも、徐々に薄れていく意識。完全にシャットダウンしてしまう寸前、わずかにノイズが入った気がした。

「──────────」

「───────────」

「──────」


................。






 


 朝。怒鳴り声で目が覚めた俺は、ベッドのそばに奇怪なオブジェが置かれていることに気付く。まるで、粘土をぐちゃぐちゃにしてから焼いたような。誰かが土偶を作ろうとして失敗したか...。俺の部屋にそんなん置いたの誰だ?って思ったところで、それが俺の母親だということに気付く。申し訳ないけど、俺はこんな顔した奴から生まれてきたのかと思うと───。

 とっとと身支度をし、親から逃げるように家を出た。今日が25日だから、明日から3連休。特に何かあるって訳ではないけれど、学校に行くよりはマシ。いや、家に缶詰もそこそこキツいか?とりあえず、今日の学校が早く終わることを祈るのみだ。ゆうべ、なんか夢を見てたような気がするが、上手く思い出せない。

 夢の続きを期待して、俺は地下鉄の中で意識を手放した。






 そして、当然のように下車駅を寝過ごすのだった。

最近どんどん更新速度が落ちていっているようで、危機感に襲われています。もちろん失踪はしませんが、更新が極端に遅くなってしまうことも無きにしもあらず、なのです。こんな文で大丈夫なのかも分からず、非常に心配です。批判がほしい────です。いや、やっぱり批判は......人間、こわぃ(゜ω゜)

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