第一話 現実逃避行
「さみぃ。」
現在の時刻は午後10時をまわったところ。俺はなんとなく家路に向かいながら、独り言をつぶやいていた。別に家に帰りたくないってわけじゃない。ただ、なんとなくその、そう、気が乗らないというか、何というか。
俺は、...俺は、ただの学生さん。目立った特徴もなく、中肉中背──よりも少し低めの身長....地味なコンプレックスになりかけてるような気もする。まあ、お得意の現実逃避で茶を濁そう...。 まあ、そんな学生さんがなんでこんな時間に外を放浪しているのかというと───
├約二時間前┤
「確か、今日が、っと、あったあった。」
今日は俺の推しの美少女のタペストリーが発売開始だったはず。数量限定となれば、学校帰りだろうと何だろうと行かない手はない。会場となる店周辺の地図を再確認すべく、鞄の中からパンフレットを発掘している。どうやら目的地はこの次の通りのようだ。俺が方向音痴キャラじゃなくて本当に良かったとしみじみ思う。
「さて、と。突撃といくかな。」
店の正面が見えてきたわけだが、この店、少しばかり外見が、「そっち系」な感じで...とにかく、入るのに心の準備がいる店だということだよ。
深呼吸を、ひとつ、ふたつ、みっつ──
「───よし。」
気恥ずかしさを振り切るように少し早足で歩く。
そう、あたかもこの店の常連さんかのようなオーラを出しながらだな────
あれ。
なんで店ん中こんなに真っ暗なの?
慌ててさっきのパンフレットを確認する。
「いやでも、確かに4月9日リリース決定───......。」
言ってからようやく気付いた...。今度からパンフはしっかり音読しよう。
パンフレットの表紙にはおっきく【新情報】パンフレットの中の中央下には赤文字で【リリース決定!】そう、書かれていた。確かに今日、リリースはされたのだろう、首都圏の、限られた一部の店でな。さて、この店には一体何日後に納入されるのかな?───恋は盲目って、この事をいうのかな・・・?
そのまま帰るのもなんか癪だしと思ってね。
ほんとに、帰りたくないってわけじゃないからな?
だだちょっと家にいたくないってだけで──....。
──家には、帰りたくなかった。
ありぇ?どんどん鬱ってくぞぉ?
初心者ですが、だいぶ難易度の高いものを書こうと、高望みをしております...
万面楚歌といいます。以後、お見知りおきを。
不定期投稿を予定させて頂きます。
投稿スピードの上がり下がりが極端なものになってしまうと思いますので、小説家になろう、のサイトを訪れたとき、ついでに更新を確認しておく、というくらいの気持ちで読んでいただければ幸いです。生暖かい目で見守ってくださいますよう、よろしくお願いします。