老人とキャッチボール
家の近所の役場支所に行き、アンドロイドの首を、窓口の中年男の職員に見せて渡すと、一万円貰った。
中年男の職員「クビから下の体は、まだその公園にありますか?」
私「たぶん、あるかと。」
中年男の職員「分かりました、後で見に行ってみます。近頃は、老人を殺すようにプログラムされたアンドロイドが増えてきているので、気をつけて下さい。」
物騒な世の中になったもんだ、しかも、年寄を殺すようにプログラムするなんて酷すぎる!!
私は憤慨しながら役場支所を出た。腕時計を見ると、まだ1時間しか経っていない。
私(まだ、家に帰るには早すぎるか。)
私は、役場から少し歩いて河原に着いた。河原では、小学1・2年ぐらいの子供とその父親と思われる男が、キャッチボールをしていた。私は、河原にある木でできた長い腰かけに座った。すると、突然ボールが飛んできて、腰かけに当たった。軟球だった。父親らしき男と子供が、ニヤニヤと笑っていた。父親らしき男が、口から何個か軟球ボールを吐き出し、そのうちの1個を私に向かって投げた。ものすごい豪速球で、またもや腰かけに当たった。続いて、子供も口から軟球ボールを何個か吐き出し、そのうちの1個を私に向かって投げた。この子供も、ものすごい豪速球で、腰かけに当たった。
私「ヒッ!!こ、こいつらもアンドロイドなのか!!老人を殺すようにプログラムされたアンドロイドなのか!!」
父親らしき男「さあて、そろそろ、その骨と皮だけの胴体に風穴をあけちゃおうかな、脅しの時間は終りだよ。」
子供「そうだね、年金もらって長生きしてるなんて、癪だよね。」
子供は、腕をものすごい速さでグルグルと回し始めた。
私は腰かけから立ち上がり、走って逃げた。ビュンビュンと何球かボールが通りすぎた。
子供「おそ!!逃げ足が遅すぎて、ボールを当てにくいよ。」
父親らしき男「俺に任せろ、精密度は、旧型のお前より俺の方がいい。」
父親らしき男は振りかぶった。
私「ヒィッ殺される!!ミサ、助けてくれ!!」
私は叫びながら逃げた。しかし、ボールは飛んでこなかった。恐る恐る後ろを走りながら、振り返って見てみると、どこからともなく現れたミサが、父親らしき男の胸ぐらを掴み、持ち上げていた。ミサは、助けに走り寄って来た子供を蹴り飛ばし、さらに父親らしき男の胸ぐらを掴み持ったまま、子供の首に廻し蹴りを入れて、子供の首をぶちちぎった。そして、父親らしき男を河原にある少し大きな石に、何度も頭から叩きつけた。父親らしき男は動かなくなり、ミサは、スイーパーホールドで首をもぎ取った。ミサは、父親らしき男と子供の首を持って、私の所に来ると、私の足元に放り投げた。
ミサ「役場にまた、その首を持って行って下さい。貰えるお金は、あなたの好きに使っていいです。」
私「ありがとう、ミサ。助かったよ。」
ミサ「キャッチボールをしたいんですか?」
そう言うと、ミサは、口からゴムのカラーボールを吐き出した。
私「いや、いい。キャッチボールはしたくない。」
ミサ「遠慮せずに。」
ミサは私に向かって、さっきの父親らしき男と子供より速い豪速球を投げた。ゴムボールは、私の顔に当たった。
私「アイタッミサ、やめろ、やめてくれ!!」
しかし、ミサは聞く耳をもたず、何個も口からゴムボールを吐き出して、私に投げ続けた。私は、両腕でとにかく顔をガードし続けた。
ミサ「やる気あるんですか?そんなんじゃあ、ボールは捕れませんよ。じゃあ、あと100球だけですよ。」
私「なに?ムリムリムリムリ!!100球なんて、死んでしまう!!」
ミサは、100個ゴムボールを口から吐き出し、私が両手でガードをしている顔にボールを投げ続けた。私はたまらず、50球目ぐらいに倒れたが、ミサは、構わず倒れ込んだ私にゴムボールを投げ続けた。そして、100球投げ終わるとミサは、まだ掃除の続きがあると言って、私の家へと帰って行った。
私「地獄だ、ヘルすぎる!!」
私は腕時計を見たが、まだ10時過ぎだった。
私「まだ10時かよ。」
私は、河原に大の字になって、青い空を眺めた。




