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音楽室
最近、何やら騒がしい。
生徒たちの間で、怪奇現象が噂されているようなのである。
「2組の生徒が聞いたんだって」
とミツキ。
「ところで我々は何組だ?」
「1組だよ」
「そうか」
「そんなことより」
「何だ?」
「誰もいない音楽室から、誰かが啜り泣くような音が聞こえてきたんだって」
「普通、ピアノを弾く音じゃないのか?」
「それだけじゃないよ」
「まだあるのか?」
「ベートーベンの肖像画が」
「定番だな。目玉でも動いたか、それとも髪型が変わったか」
「笑えるほど面白いんだって」
「前に見たときは普通だったと思ったが?」
結局見にいくことに。
「ぷっ」
私は思わず吹き出してしまった。
「ね、面白いでしょ」
「いや、これはベートーベンではなくて、落語家の渥美亭キャベ太郎だ」
「あつみていきゃべたろう?」
「ほら地元出身の」
だがそのとき、誰かが啜り泣く声が聞こえてきたのだ。
「36、36」
「それは何だ?」
「しく、しく。しく36」
「落語オチか!」




