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半島
ピーガー、ピーガー。
「妙ないびきをかくでない、ミツキ」
「違うよ、ラジオだよ」
ミツキは年代物のラジオをいじっていた。
ピーガー、ピーガー。
「ちゃんと周波数を合わせないといかんな」
「合わせてるんだけど、音が綺麗に入らないんだよ」
ピーガー、ピーガー。
「田舎は電波が悪いからな」
「エネーチケーも入らないよ」
この田舎は公共放送にさえ日本と扱われていないのかもしれぬ。
そこにウララがやってきた。
「ミツキ、この地域は周波数が違うやん」
「あ、そっか」
田舎には田舎用の周波数がちゃんとあったらしい。
ピーガー、ピーガー。
「やっぱり無理だ」
「半島だからな」
「それなら、あれはどうや?近くにコミュニティFMがあったやろ」
「近くと言っても、そこそこ遠いぞ?」
ミツキは周波数を合わせた。
「あ、クリアに聞こえるよ」
「スンドゥブ、キムチゲ、マシッソヨ」
「???」
「マッコリ、ギョプサル、マシッソヨ」
「半島違いだな」
「電波強すぎへん?」




