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お好み焼き2
「ク、クレープじゃないの!?」
ミツキはショックを受けたようだ。
「お好み焼きやで」
「名古屋風お好み焼きって何だ?」
「いわゆる乗せ焼きの一種やけどな、薄いクレープ状の生地の上に、キャベツとかの具を乗せて、二つ折りにしたお好み焼きや」
と、ウララは非情な説明をした。
「ま、そういうことのようだ。こんな田舎にクレープ屋などあろうはずがない」
別にミツキを慰めたわけではない。
だが、ミツキはすぐに立ち直った。
「それなら私、お好み焼きを追求するもん!」
次の日。
ミツキは妙なものを持ってきた。
「新しいお好み焼きを作ったの。山形風だよ」
「どんな特徴だ?」
「山形といえば冷やし文化だもん。そばを冷やし中華にしてあるんだ」
つまり薄い生地の上に、生キャベツの千切り、冷やし中華の麺、その上から薄焼き卵か。
「紅生姜と冷やし中華のタレをかけて召し上がれ」
皆、食す。
「どうだ、ウララ?」
「イタリア風のときの教訓が生かされてへん味や」




