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移動販売
田舎には店がない。
その代わり、店の方からやってくる。
トーフー、トーフー。
「お豆腐屋さんのラッパが聞こえるねえ」
と、ミツキは言った。
「自転車で回っているのも最近珍しくなったな」
「いまだに木の冷蔵庫使ってるもんねえ」
などと話をしていたら、ウララがガバッと立ち上がった。
「そや!買い物頼まれとったんや!」
急いで教室を出て行った彼女は、しばらくして戻ってきた。
鍋に豆腐を入れて。
「お豆腐買えたで」
「わざわざ鍋を学校に持ってきたのか?」
「入れ物、持参だもんねえ」
しばらくして。
トーフー、トーフー。
「さっきの豆腐屋、またやってきたか」
「今度のは違うよ。車で回ってるやつだよ」
「他にもあったのか」
「お豆腐だけでなく、いろんなものも売ってるんだよ」
すると、ヒマリが立ち上がった。
「買い物がありましたわ」
しばらくして。
「買えて良かったのですわよ」
「き、金閣寺の置き物?」
「土産物まで売っている?てか、買ってどうする?」




