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赤ん坊
「オギャア、オギャア」
赤ん坊が泣いている。
キャベツ畑の中で、キャベツのおくるみに包まれて。
「わあ、赤ちゃんだ!」
すぐに飛びつくミツキたち。
「かわいいー!ねえ、ユミナ、赤ちゃんだよ!」
「かわええなあ」
「かわええですわよ」
「かわええなのだ」
すぐに人気者になる赤ん坊である。
「この赤ん坊はなんなんだ?」
と、私はコノハに聞く。
「彼はネオ・レムリアの王。未来からやってきた」
「ネオ・レムリア?未来?」
「この地は選ばれたの。レムリアを復活させる舞台として」
「こんな田舎がか?」
「彼はこの地を統べる王となる」
にわかには信じ難い。
「名前はミライちゃんにしよう!」
何も考えていないミツキ。
「ありきたりすぎやんか」
だが、他に考える気力もなさそうで、ミライちゃんに決まってしまった。
コノハは哺乳瓶で授乳を始めた。
「なんか緑っぽいが」
「キャベツの汁」
「栄養あるのか?」
「彼はキャベツしか食べないわ」
それでこの地が選ばれたか。




