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秘術
校庭にキャベツ畑。
「ほう、見事な出来だ」
などと言っている場合ではないのだが、よく育っている。
「レムリアの秘術か?」
「そんなところ」
双葉コノハは、私が見ている前で栽培の術を披露してくれた。
「まず、耕す」
コノハはクワを地面に打ち込んだ。
「これは普通だな」
時間がかかりそうなのだが。
「こっちに既に耕した地面がある」
「クッキングショーみたいだな」
「次に、タネを蒔く」
「ここまでは普通だが、これもか?」
「こちらに既にタネを蒔いた畑がある」
「用意のいいことだ」
ここまでどれだけ時間がかかっているのだろう?
「次に、雨乞い」
「雨乞い?」
コノハは雨乞いの舞を踊り始めた。
「もうやっこ、もうやっこ、らっせりゃあす、らっせりゃあす」
滑稽な割にローテンションでやる気なさそうな踊りだ。
「降ってきたな」
雨が降れば、桜島がやってくる。
コノハは玉のキャベツを串に刺すと、桜島の火花で焼き始めた。
「止むまで待とう」
「豪快過ぎんか?」




