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都会半島
たまの休日。
我々はフェリーに乗り、半島に向かっている。
我々というのは、私の他に、ミツキ、ウララ、ヒマリ、カレン。いつもの五人だ。
我が地元は、海に突き出た半島にある。その先から小一時間ほどフェリーに乗ると、もう一つの半島に着く。
「きゃー、到着!」
圧倒的にはしゃいでいるのは、もちろんミツキだ。たかだかフェリーに乗ったぐらいで。
「やっぱこっちは都会だねえ」
地元の人は、こちらを都会半島、我々の方を田舎半島と呼んでいる。
といっても、ここはたいして都会ではない。
全国的に見れば、いや、県内で見ても普通に田舎である。
だが、都会か田舎かの判断は、あくまで比較による。
例えば、東京の北千住は我々の地元から見れば大都会だが、渋谷から見れば田舎である。
だからここも都会なのだ。
「凄い!フェリー乗り場の前に駅がある!」
「駅前にフェリー乗り場があるのだ」
このように、我々の半島は先まで鉄道が通っていない。
「都会と認めよう」




