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しーちゃん
で、その後しーちゃんがどうなったかというと。
「皆さんに転校生を紹介します。粟栗四三君です」
「どうも、粟栗四三です。しーちゃんと呼んでください」
と、こうなったわけだ。ありきたりだが。
しーちゃんはあっという間にクラスの人気者になった。流石はパンダだ。
「というよりな、ミツキ」
「どうしたの、ユミナ」
「粟栗四三君と紹介していたが」
言うまでもなく、ここは女子校だ。
「いいんじゃない、しーちゃんだもん?」
「あってなきが如きの校則だな」
とにかく、しーちゃんは真面目に学業に励んだ。
英語の時間では。
「しーちゃん、凄い!ペラペラだねえ」
「喋っているのは中国語だがな」
体育の時間では。
「しーちゃん、足早い!」
「本気出すとパンダは早いな」
家庭科の時間では。
「しーちゃん、裁縫得意なんだね!」
器用に服を作ってみせた。
「お洒落な服やな」
「着てみてはどうですの?」
「よくお似合いなのだ」
「いや、モノトーンの服じゃ裸と変わらんぞ」




