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ASMR
ムシャ、ムシャ、ムシャ。
「よく食べるねえ」
「ホンマ、ええ音させるなあ」
「ASMRというのですわね」
「なぜか動物の咀嚼音って癒されるのだ」
ミツキたちが買ってきたお菓子やらを、食べているパンダ。
「むぐ、むぐ、むぎゅ」
「お主はやらんでもよい」
今のはアホなミツキが対抗して焼きそばパンを頬張った音だ。
「飴ちゃんもあるで」
ボリ、ボリ、ボリ。
「癒されるな」
「竹もありますわよ」
ガリ、ガリ、ガリ。
「いい音だ。やはりパンダは竹だな」
「マシュマロもあるのだ」
……、……。
「あんまり音はせんな」
パンダはみるみるうちに大きくなった。
もう成体である。
「ノエルちゃん、この子名前あるの?」
「いい名前を付けてあげてほしいわ」
考えるミツキたち。
「トントンはどう?」
「ありきたりすぎるわね」
「カンカンはどや?」
「同様ね」
「あまりいい名前が浮かばぬな」
なんて言っていたそのとき、パンダが口を開いた。
「私は粟栗四三です」
あわぐりしぞう?




