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キャベツは逃げる
「今、動いたな?」
「動いたで」
ミツキがそーっと近づいて、キャベツを捕まえようとする。
「えいっ」
だがキャベツは、彼女の手をするっとすり抜けて、調理台を飛び出し、家庭科室の床をコロコロ転がった。
「あ、待て!」
ミツキが追いかけていって、捕まえようとするが、やはりキャベツは逃げてしまう。
コロコロ転がって、教室の外に出ていった。
「待って、キャベツ!」
キャベツを追いかけて教室の外に出ていくミツキ。
「我々も追いかけよう」
私とウララも廊下に出て、キャベツを追った。
「どないなっとるんや」
「物体サーチ開始」
私は持てる能力を使って、逃げていくキャベツを調べた。
「生体反応有り」
「あのキャベツ、まだ生きとるんか。さすがは地元産や。活きがええで」
「この田舎がいくら特殊だからって、キャベツが勝手に動いたりしない。生体反応有りと言っても、この世のものではない」
「それ禅問答か?」
キャベツを追って、我々のクラスの前まで来た。




