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家政部
突然何かを思い出したように、ミツキが話しかけてきた。
「ねえ、ユミナ。私、家政部だったんだ!」
「どうした今さら」
「だって、お好み焼きを作ったり、キャベツの創作料理を考えたり、そういったことをしてきたのも、私が家政部だったからなんだよ」
「しかし、どこかで帰宅部と言ってしまったような気がするな」
「私、過去のことは振り返らない!ユミナも一緒だよ!」
一緒だよ、と言われてもな。
「世間では、それを後付けと言うと思ったがな」
私の言葉を、ミツキは聞いていないようだった。
「だから今から、ユミナにキャベツ料理を振る舞うんだ!」
「いらんから」
周知のように、私は一日一食、フルーツのみ食す。
キャベツが主食のこの地域では、異色の存在だ。
「だから私たちは今、家庭科室にいるんだ。それで取り出しましたのは、地元特産のキャベツであります!」
「って、聞いてないな」
思い起こせば、ミツキが私の言うことを聞いたことなど一度もなかった。




