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東風東風の場合
東風東風はアルマの従者のオウムである。
アルマについて地球に来たはいいが、そのまま住み着くことになったのは心外であっただろう。
彼がうまくやっていけてるのか心配になるが、意外と地域に溶け込んでいるようだ。
「あー、オウムだー」
「オウムだー」
これは小学生たちの声である。
ここは田舎だが、高校があるのだから当然の如く小学校もある。
だから適当に柿の木などに止まっていたりすると、彼らの人気者になってしまう。
「こんにちは」
と言われ、
「こんにちは」
と何気なく返してしまったのが、東風の運の尽きであった。
「わー、言葉を覚えたー」
「もっと覚えさせようよー」
「いや、これは其方たちによって覚えたのではござらぬ」
「このオウム、変な言葉覚えてるよー」
「生麦生米生卵って言ってー」
「な、なま?なんでござるか?」
「生麦生米生卵だよー」
「な、なま、む、まめ、またま?」
その日東風は、謎の呪文のような言葉に夜遅くまでうなされたという。




