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パンダ缶
むむむう。
流石に大魔王時代の私といえど、これほどまでの鬼畜な所業は覚えがないが。
「いいから開けてごらんなさい」
ノエルに言われて、缶詰を開けてみる。
すると。
缶の中には、小さなパンダが。
丸まって寝ているように見えたそいつは、ムクっと起き上がった。
まるで風呂から上がるかのように缶から出て、机の上に降り立ったではないか。
「生きているのか?」
「それだけじゃないわ。これから成長するのよ」
ノエルがビスケットのカケラを与えると、パンダはガツガツと食べた。
「ちょっと大きくなった気がするな」
「もっと食べ物を与えるのよ」
こんなものを女子高生が放っておくはずもない。
「何これ、きゃー、かわいい!」
「動きよるで」
「もふもふですわよ」
「この世のものとは思えないのだ」
群がるな。群がるな愚民ども。
群がるのは愚民の証拠だ。
「これ、何食べるの?」
「おいしいものなら何でもよ」
「私、購買部行ってくる!」
ミツキたちは行ってしまった。




