134/239
アケフの場合
アケフは野球部のコーチだ。
身長2m以上、体重200kg超え。
伝説の横綱と四番サードの能力を合わせ持った存在である。
元プロ野球選手で、某縦縞の球団に所属していたという噂もあるが、その正体は謎に包まれている。
ミツキが血相変えて飛び込んできた。
「ユミナ、図書室に来てよ!」
何事かと思い付いていくと、一冊の本を見せられた。
「こんな本があったんだ」
表紙は、縦縞のユニフォームに身を包み、雲龍型の土俵入りを披露するアケフであった。
「アケフのファンブック?そんなものがあるのか?」
「背番号64だって」
「その数字には何か意味があるんだろうか?」
「さあ?」
「発行元はどこだ」
「掠れて消えてるんだ」
よくわからんが中を見てみる。
若かりし頃のアケフが、新入団選手として紹介されていた。
「やっぱり本当にプロ野球選手だったんだ」
「いや、まだわからんぞ」
次に優勝したときの写真があった。
「普通ビールかけだろ?」
「鯛を持ってるねえ」




