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呪法
「これがお主の言っていた不吉か?マトリョーシカが?」
「もう既に手遅れ。私たちは包囲されてしまった」
コノハはぐるりと周囲を見渡した。
「おや?」
気づくと、他にもマトリョーシカが。
「一、二、三、後八体いるな」
それぞれ、ファースト、セカンド、ショート、と、野球のポジションの位置に、マウンドにあるのと同じマトリョーシカが立っていた。
「いつの間に」
この私に気づかれずにマトリョーシカを立てていく相手とは、一体?
どうする気だ?
野球でもしようというのだろうか?
騒つく我々を静かにさせるように、コノハは言った。
「これはマトリョーシカの呪法」
私でも聞いたことがないが。
「不吉を召喚する、古代アトランティスの秘宝」
アトランティス?
するとミライちゃんがやって来た。
保護者代わりのしーちゃんもいる。
「来たです。このときが来たです」
コノハは真っ直ぐに天を指差した。
上空を見上げる。
「ひええっ」
ミツキたちはおったまげてしまった。




