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祭りの後
以前コノハが作るところを見ていたおかげで、例の妙薬を再現することができた。
無事に生徒たちを石化から戻すことができ、安堵する。
あの不思議な呪文を唱えているときの自分はもう二度と思い出したくはないが。
「これで文化祭も終わったな」
「ああ、夢の跡やな」
校庭を見下ろすと、プープーちゃんに食い荒されたキャベツ魔法陣の残骸が、無惨に散乱していた。
せっかくコノハが作ったものだが、まあ、無事に危機は去ったことだし、良かったのだろう。
「なあ、コノハ。どうした?」
コノハはまだ浮かない顔をしていた。
「結界が、壊れてしまった」
「結果的に良かったではないか」
だがコノハは首を振った。
「まだ終わっていないわ。不吉が、不吉がやってくる」
コノハはじっと空を眺めていた。
空は青く澄み切っていた。
「さあ、片付け、片付け」
「新しい実験生物を作らなくちゃ。今度はキャベツが嫌いなやつ」
生徒たちは三々午後帰っていく。
「不吉がやってくるわ」




