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プロローグ
ざくざくざくと、森の中を足音が進んでいく。
歳は16、7ほどだろうか、少女が木漏れ日の中を歩いていた。
風に揺れ腰まで伸びている髪は、綺麗な白銀。
瞳は、紅玉のような真紅。
まるで人形かと思うほどの美貌をもつ少女がひとり、バスケットを持って歩いていた。すると、瞬く間に動物たちがわらわらと集まってきた。
「おはよう、みんな。昨日の雨は大丈夫だった?」
少女がしゃがんで動物たちに話しかけると、様々な鳴き声が返ってくる。まるで言葉が通じているかのように、彼女らは接していた。
すると、一匹の狐が少女の下へ駆けてきた。落ち着きなく、しきりに鳴く狐に少女は何かを察して、立ち上がる。
「伝えたいことがあるのね?」
「コンッ!」
そうだ、というかのように狐は鳴き、もと来た道を駆け戻り始めた。それに少女もバスケットを抱えついて行った。
川の近くまで来たとき、少女は狐が慌てていた理由を知った。
「男の子………?」
7歳ほどの少年が川のほとりに倒れていた。